『サンデー毎日』昭和31年4月8日号。
「人生ノート」。創刊35周年記念号、とも。
100歳近くまで生きた、『エスプリとユーモア』などの著作で知られる、仏文学者である。
「露伴先生の奥さん」という小見出しで始まる、冒頭を引く。
「世に悪妻は一生の不作といわれます。しかし昔から天才や偉人で悪妻に苦しめられながら立派に仕事をした人は少なくありません。むしろ悪妻であったために、かえって良い仕事ができたといえるくらいです。ソクラテスの細君がおそるべき悪妻だったことは有名ですが、最近刊行された小林勇著「蝸牛庵訪問記」(岩波書店)という幸田露伴先生のことを書いた本を読みますと、先生も二度目の夫人には相当悩まされたことが分ります」
だんなだけが有名で、本人自身が有名でない女を悪妻と言ってよく、悪女に通じるのは、すでに述べたとおりである。明日以降に続く。

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