昨日の続き。冒頭から引く。明日以降に続く。
「「うちの女房は、悪妻でね。全くやりきれないよ」…。
と、駅前のおでん屋などで、コップ酒に酔ったサラリーマンが同僚につぶやく。
瞬間、彼の頭のなかに、もっとも印象的な妻君が、あざやかに登場する。
月給袋の軽きをせめる恐い顔、デパートや売店のショー・ウインドをみつめるドン欲な眼差し、なにかといえば家をあけて、子供の世話や、ひもじいおもいをさせる着飾った姿、そのくせ会社から一直線に帰らなければご機嫌斜め……、そして飽くまで自説を主張する頑固きわまる女性なのである。
が、こんなにイライラさせたり、憤慨させたり、また悲しませたりしても、当然のことながら絶対に”退屈”だけはさせない。
だから、「悪妻でね」――とつぶやく言葉のうちには、こんなノロ気もひそんでいるようだ」

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