全日空の搭乗システムが、今朝早く停止し、午後3時半まで続いた。これはホストコンピュータと空港などの端末を結ぶシステムで、系統の半分を交換したところ、処理速度が落ちて機能不全状態になったという。
そのために、今夜までに130便が欠航し、300便が1時間以上の遅延となった。システムを利用している提携航空会社も運行に大きな影響を及ぼした。
数万人の乗客に影響が出たため、特に羽田空港は大混乱になったが、規模が大きすぎたこともあってか、説明が不足し、乗客の間では対応に不満が続出した。
いまや、航空券は空港カウンターだけでなく、旅行会社の端末、インターネットに接続したパソコンでも購入出来る。さらに携帯電話を使ったチケットレスサービスもあり、それらを支えるために、高度な電子システムが稼働している。
しかし、このようなシステム自体は、系統が限られているため、トラブルが起きたときにすべてへ影響を及ぼすことがある。バックアップ体制が必ずしも完全ではない。
今日は、NTTドコモが新たに始めたサービス「2in1」のシステムも停止していたことが明らかになった。2in1とは、一台の携帯で、2つの電話番号と2つのメールアドレスを扱えるサービス。番号ポータビリティでAUに押されているドコモの「反撃」の目玉である。ところが、契約しても、サービス設定が出来なかったり、受信が出来なかったりすると言う、かなり基本的な不具合だった。
原因はシステムのプログラムミスだったという。この種のシステムは、もちろん発売前に試験用端末を使い試験を行うのだが、完璧に不具合を取り除くことは出来ない。なぜならば、発売期日が設定されているため、複雑な機能の組み合わせすべてに手直しする暇がないのだ。だから、普通に使ってる分にはトラブルを起こさない程度に修正してサービスを開始する(よってどのシステム、どの携帯電話にも不具合が残っている)。ただ、携帯端末そのものの機能だけでなく、ホストコンピュータのプログラムに問題があると、サービス全体へ波及してしまう。
システムというのは実用化初期動作の時が一番危ない。試験段階でどんなに詳細に「起こりうる問題」を想定してプログラムを書いていても、実際に動かしてみて初めてわかる問題が存在する。意外に多いのが、単純なトラブル、たとえば予想より多くのアクセスがあったために処理が追いつかなくなる、と言ったものだ。事前にわかりそうな問題も、実は予想できないことが多い。
この15年ほどで、社会はあっという間に電子化された。
その裏では、数万人のSEが、残業して必死に開発や試験を行っている。しかし、SEの多くは契約や派遣、あるいは下請けの社員であって、システムを動かしている大企業の社員と比べてずっと低い賃金で働いている。その上、中国やインドのエンジニアにその地位を脅かされている状況だ。
そんな不安定な雇用体制が電子社会を支えている。
もし、自国民のエンジニアが他国民によって雇用を奪われたら、社会を支える体制そのものの安全保障に関わる。また、人件費をケチって開発に支障が生じたら、システム運営中に機能が停止する今回のようなバグが残って、突如トラブルが発生するかも知れない。
電子化された社会で、その機能が停止したとき、人命や経済に大打撃を与える災害が発生するとも限らない。一つの国家が、たった数時間の機能停止で崩壊しかねない時代に入ったのである。
少なくとも、今の政府に、そこまでの危機感が理解出来ているのか、かなり疑問である。

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