氷雨降る中、数百キロも
(オットが)運転して、大学のオープンハウスに行ってきました。
いやいや、びっくり広いこと広いこと。広いとは聞いていたけど、これはもう、我が町のダウンタウンどころか、下手をしたら市が丸ごと入ってしまうくらいの広さ。そのキャンパスを雨に濡れ、寒さに文字通りガタガタと震えながら、あっちのビルディング、こっちのオーディトリウムと歩き回りました。
年に一度のオープンハウスとあって、大学側も気合いが入っています。
15分ごとに区切られたスケジュールに従って、着いた順に、まずブースを見て回ってから、入学準備の心得みたいな講義を受け、まとまった人数ごとにツアーをくんで実験室や実習室を見学。説明はすべて学部生または院生がしてくれます。
今回は獣医学部のオープンハウスとあって、ブースはすべて動物関係。学生達のクラブ活動としての、アニマルレスキューやフードアニマル(畜産動物)の研究会、キリスト教的動物学(?)その他いろいろ。学内全部で700ものクラブ活動があるとか。
そして、教授の一人に受けた講義が素晴らしかった!
これから獣医を目指そうという高校生たちにその先生はまず、「失敗しても取り返しはつく」という話から始めたんです。ご自身の失敗談を披露しながら。その失敗談自体、日本人的感覚からすると「相当のもの」だったのですが、それでも大丈夫、この通りです、と。ただ、
失敗をリカバーするためには必要な能力技術がいくつかある。それを学んでください、と。それはself awareness だったり、critical control skillだったり…
私が学生の頃、教員の説教と言えば、「今がんばっておかないと取り返しがつかない」「今という時は二度とないのだから失敗は許されない」「失敗しないためにああしなければならない、こうしなければならない」という方向ばかりだった気がします。
続いて、「獣医になるためには学問が必須です。学問はもちろん非常に大切ですが、あなたたちが立派な獣医になったとして、一番に接する相手は誰ですか。相手は患者(患畜)の飼い主、人間なんです。コミュニケーションのスキルは非常に大切。スピーチの訓練を是非受けてください。今からでも決して早すぎません。方法はいろいろあります。電話でも何でもとにかく人と話しまくる、学校でスピーチのクラスを取る、演劇をする、クラスで発言しまくる…、私は演劇を勉強しました。話し方の勉強は学問の勉強と同じくらい大切なんです。」と。
まったくごもっとも。アメリカ人が誰も彼も上手に話すのは天性の物とは限らず、みんなこうして努力しているのかもしれない。ということは、アレですね、世の中には獣医になるために一生懸命舞台に立っている若者なんかもたくさん存在するってこと?(笑)
うちの子ども達に一番必要なのも実はこの「話す訓練」ではないかと思っています。そうでなくても英語が第一言語でないことでかなりのハンディキャップを背負っているわけだから、一層の努力が必要です。今まではスピーチの不利を成績でカバーするようにがんばってきたけれど、これからはスピーチの訓練を避けて通るわけにはいかない。
フーはすっかり
どんよりしてしまいました。「わかってたんだけどさ。スピーチが必要だってことは。訓練受けないといけないってことも重々わかってたんだけどさ。」
…苦手なのね。
電話もキライだし、まとまった「話」を人前ではあまりしないタイプだしね。ともあれ、おかーさんは応援するしかないです。
講義はそんな感じで、ある種の精神論を含んだ、具体的なアドバイス盛りだくさんの有意義なものでした。そうそう、今からでも全然早くないから、地元のシェルターや農場、獣医とできるだけ多くのコンタクトを取って、見学や実習をさせてもらうといい、とも。「なんたって獣医って『教える』のが大好きな人がほとんどだから」とのこと。そういえば心当たりがありますねー(笑)。
学内のツアーは、これがもう面白くて。今までマンガでしか見たことがなかった、

トリのX線写真とか

さすが畜産系!なイラスト付き解説とか

犬の骨格標本とか
…興味を持たずにいられないものがゴロゴロありまして。X線写真も、電球を飲み込んじゃったヘビ、大きなナイフを飲み込んじゃった(一体どうやって!?)犬、安全ピンやら押しピンやらの事務用品をどっちゃり胃に詰め込んでしまったニワトリなどなどの他、子犬が何匹もお腹に入った犬のも展示されてました。
手術室では、外科のユニフォームに身を包んだ院生が手術台に置いたぬいぐるみの前で麻酔器具や用具について、またここの学生たちは実習を兼ねて、
シェルターの犬や猫を去勢・避妊手術して里親に出す手助けをしていること
(すばらしいっ!…ちょっと不安な気もしますが…)なんかを説明してくれました。気をつけて聞いているとやっぱり説明がお上手!20代前半の学生がこんなに上手にスピーチするなんて、やっぱり訓練のたまものなんでしょうか。
別の部屋では、超音波装置のディスプレイに映ったフィラリアの状態を解説してもらいました。かなりの重症。ここまでひどいのは滅多にないけれど、ここまで進行してしまった場合は外科的手術で成虫を引き出すことになる、と、実際に出したフィラリア成虫のサンプルまで見せてもらっちゃいました。うげー
しかし、隣でフーは、「リンゴ先生のところでもっと大きなフィラリア見たことあるもーん」と自慢気。大きなフィラリア…自慢ですか…
別の部屋では、なんと超キュートなグレイハウンドたちがお出迎え。

かわいすぎっ!
グレイハウンドはレース犬だけど、ある程度の年齢になったら引退して家庭犬として余生を過ごします。この子達は学生たちの「家族」であり、また
「献血犬」として第二の人生(犬生)を送っているところ。グレイハウンドは首が長く、毛が短く、細い割に筋肉で身体もしっかりして、体重もあり、献血犬にベストなんだそうです。しかも!犬の血液型は何千種類にも分かれるんだけど、グレイハウンドの血はほとんどすべての犬に輸血できるんだって!えらい!すごいぞ!グレイハウンド!!
もちろん、みなさんの家庭犬も献血犬として登録して働いてもらうこともできますって。体重25kg以上の条件はクリアしてるし、どうかしら?クッキー
でも首の毛が
あれじゃ、無理かなあ。
グレイハウンドに魂抜かれました。あの穏やかさ、あの目、ああ、素晴らしい。
そしてフラフラとツアーについて行き次に目にしたのは…
やっぱり学生さんのペットだそうですが、

ベイビー・スカンク!
この日もここへ向かう途中、スカンクの臭い充満するハイウェイを通り抜け、しばらく車内がとんでもないことになったんですけど、こんなに可愛い生き物なのねー。当然、臭いの元は取り除いてあると思われますが、ちょっと失礼な気がして質問できませんでした。
まさか建物の2階奥深くにこんなところがあるとは・・・

こんな仔牛でもクッキーよりずっと大きいんですねー。

こんな可愛い子たちばかり見せるなんて反則。

人慣れしてます。
でもこのあとに見た、解剖学実習室は衝撃的でした。学生(院生)たちがまさに、牛の脚の解剖真っ最中。毛皮を剥がし、蹄を取り外し、腱をむき出しにして、その腱を引っ張ると足が動く実習をしていました。
・・・・・・予想はしていたけれど、やっぱり獣医にはなれない自分を発見。あっという間に気分が悪くなってしまいました。リンゴ先生の元で、いくつもの手術を見学させてもらったフーは平然としています。子どもの頃は自宅で鶏を捌いていた、というオットも然り。私だけが逃げ出した形になってしまいました。
ここまでが午前中の見学で、午後はより実質的な受験や大学の単位に関する講義がびーっちり。想像していた以上に険しく、狭き門なのだということがわかり、圧倒されました。
ワタクシ、翌日一日寝込みましたよ。ほんとに。知恵熱ってやつ?
当然ながらフーは平然としています。こうしてどんどんどんどん親離れしていくのですねー。

未来の獣医さん達にエールを〜
→どらどら!