2014/10/10  19:18

「ジャージー・ボーイズ」ボブ・クリューと「女言葉・男言葉」  ミュージカル

「ジャージー・ボーイズ」映画版で、プロデューサー/作詞家のボブ・クリューのセリフの字幕が「オネエ言葉」になっていたことの批判を読んだのですが、私はそれはいいと思ったな。以下その理由(途中で話それるし長いのでブログにしました)。

ボブ・クリューを演じている人は、舞台でも映画でも、明らかに女性的発声で喋っています。いわゆる男性的喋り方とは違う。以前から英米映画等でこういう喋りのキャラが出てくると、私は「ああ、いわゆる『女言葉・男言葉』というのがない英語では、日本でいう『オネエ的喋り』っていうのはこうなるのだな」と思って、頭の中で女言葉に変換されるようになっていたのです。

でも、ボブ・クリューのセリフの字幕が女言葉になっていたのが悪いと感じなかった理由はそれだけではなくて。そもそも、あれは「オネエ言葉」ではなくて「女言葉」だよね。あれを男性が喋ると「オネエ」と称して特別なことと見なす、または男性のセリフをそう訳すこと自体を差別的なことにように見なす、というのが、そもそもちょっとひっかかる。「男言葉」がデフォルトになっているのよね。

ここで話がそれますが、私の以前勤めていた会社の後輩に、何代も浅草で職人をしている家庭の娘さんがいたのですよ。まあ、ちゃきちゃきの江戸っ子家系ですね。で、その子はかなり政治的には保守的な人に思えたので(政治の話なんかほとんどしなかったのですが)、ある時「石原都知事(当時)ってどう思う?好き?」と聞いてみたのです。そうしたら、「言葉が汚い。乱暴なので嫌い。」とのことでした。私は「そこかよ!」と思ったのですが...

ところが後で、その子のお父さん(職人)に会った別の後輩が、「お父さん、意外と女っぽい喋り方をするんですねえ〜」と感心していたんです。一人称は「あたし」で、「〜なのよ。」みたいな語尾になる、と。

そこで「おお!」と思ったのですが、昔気質の江戸っ子にとっては、「俺は〜だ。」みたいな喋り方は、男としてのデフォではなく、田舎モンの、乱暴な、洗練されていない喋り方なんですね。彼らの「普通に丁寧な喋り方」が、現代の全国レベルの感覚では「女言葉」に近くなっているのです。

また、最近ツイッターで、九州の男は常に「男らしい」乱暴な喋り方をする、そうでない喋りは「オカマみたい」と思われると思っているみたい、九州を出て他の地方では男がフツーにやさしい喋り方をするのですごく心がなごんだ、と書いている人がいて、これも「おお!」と思ったのです。(私自身は九州のことは知らないので、あくまで九州出身女性のそういう意見を聞いた、という話ですが。)

ボブ・クリューの話に戻りますが、「男言葉・女言葉」のない英語圏で、また女性が日本より低い声で喋ることが多いアメリカでも、男の発声、女の発声は明らかに違うのですよ。で、生まれつきの声の高低はあるにせよ、男と生まれついたら自然に男性的発声をするようになる、というわけじゃないと思うのです。やはり、親や友だちに、男なら「そんなナヨナヨした女みたいな声を出すな」と言われるし、女なら「そんな乱暴な喋り方をするもんじゃありません」と言われて育つからこそ、いわゆる「男らしい・女らしい」喋りになる。

でも、前述の江戸っ子職人さんじゃないけど、そういう「男らしい」喋り方は洗練されていない・都会的でない・乱暴で脅迫的、と感じる男性もいるのですよ。その人が女性的発声で、あるいは女言葉で喋るのを、「オネエ言葉を使っている」とは言えないのではないかなあ。ボブ・クリューはまさに都会的洗練を大事にするタイプに思えるし。

...父親に「男らしく歩け、男らしく話せ(Walk like a man, talk like a man)」と言われる歌を作詞して大ヒットさせた張本人について語っていると思うと皮肉ですけどね。(「それはメタファーよ!あたしが言うのも変だけど。」)

もちろんボブ・クリューはゲイなわけですが、シスヘテロ男性の無意識でも常に男らしさを誇示する喋り方と、ゲイ男性に多いそいうのを嫌う喋り方と、どちらが「男性として自然な喋り」とは言えないと思うのです。後者を殊更に「オネエ」と言うのは、無意識のうちに前者をスタンダードにしてないかな、と。

私自身、ネットに書くときは(ですます調でないときは)「〜なのよね。」などのいわゆる「女言葉」を使うことが多いのですが、それは女らしいと思われたいとかではなくて、いわゆる「男言葉」の内包する乱暴さや脅迫的なところが嫌いだというのがあります。

ぐちゃぐちゃ書きましたが、言いたいことは3つ。

@ 女性的発声で喋っているボブ・クリューのセリフの訳が女言葉になるのは別におかしくない
A 男性が「女言葉」を喋るとことさらに「オネエ喋り」と特別視するのはよくない
B というわけで、(シスヘテロ)男性も、もっと女言葉で喋りましょうよ!

以上よ。



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