「ツンデレ」という言葉がある。
インターネット上の有志者によって構成されるフリー百科事典である「Wikipedia」の同項目の記載には「『普段はツンツンとすげない態度を取るが、一定の条件下ではデレデレといちゃつく』という女性を指し、主に恋愛形態などについて好ましく捉えた言葉。」とある。この「ツンデレ」は2006年の流行語大賞の候補として「ツンデレ」に嵌る人々「ツンデレラ」がノミネートされているように(最もノミネート当時は誰もそのような用語が存在している事を知らなかった)、日常においても近年では使用されるようになってきてはいる。しかし、現時点においても「ツンデレ」が概念として最も用いられているのは漫画、アニメ、ゲームと言ったサブカルチャー産業においてであることは言うまでもない。
「ツンデレ」の概念は使用者によって認識の相違が激しい為に固定化された意味付けが難しい。よってその起源についても不明確な部分が多いが、先出の「Wikipedia」ではその起源を2002年頃のインターネットの掲示板においてキャラクターのツンツンデレデレを省略して「ツンデレ」になったと見ている。それ以前にも「ツンデレ」に分類可能なキャラクター、描写はあるが明確な言語化はなされていなかった。確かに「ツンデレ」という言葉が雑誌やその他メディアにおいて人口に膾炙されるのは2003〜2004年である点を勘案すればその起源はおおよそ的を得ているであろう。
当時、サブカルチャーを席巻していたのは「萌え」概念であった。近年では「ツンデレ」と萌えは等記号で結ばれる存在となっており、「ツンデレだけが萌えぢゃない」という言葉すら登場しているが、2003年前後において「ツンデレ」と「萌え」は相反する概念であった事はまず記憶しておかねばならないだろう。「萌え」とはそもそも癒しな存在であった。ここはまず記憶しておかなければならない部分である。「萌え」とは冷戦構造の終焉によってイデオロギー性がサブカルチャー作品へ反映されなくなった為に生まれた新たな概念であった。それは平穏な時代における安定性における日常における一瞬のエロティシズムを抽出したものであると説明できるだろう(所謂、天然系に近い部分がある)。これが本義的な「萌え」であり、後年記号化され「無魂の瞳」と言われた「萌え」はサブカルチャーにおける描写方法としての側面しか持ち合わせていない。それに対して「ツンデレ」とは強気の表れともいうべき表現であり、本義的「萌え」の持ち合わせていた「癒し」とはキャラクター構成要素としては相反する要素を持っている。しかし、今日では「ツンデレ」こそが「萌え」であるという等式が成立しているように思われる。この等式が成立する背後にあるのは、我が国における「格差」の発生と時を同じようにしているのは無関係ではあるまい。(続)

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