UMPC(ウルトラ・モバイル・PC)とは可搬性に優れた小型のノートパソコンの総称である。当初は2006年にインテル社などが発表した規格であるが、本論の意味で用いられる場合が多い。ディスプレイの大きさが5〜10インチ程度であり、機能、性能は数年前の主力機程度に抑えられ、価格は5万円台程度で購入できる。台湾のパソコンメーカーASUSが2007年にEeePCを発表(日本国内販売は2008年)し先鞭をつけるとともに、米国HPやDell、台湾のAcer等が相次いで参入している。
このUMPCは今、日本国内のPC販売の牽引役となろうとしているが、日本メーカーは積極的ではない。これはUMPCの人気が一過性だと考えているからであろうか?確かにUMPCブームはapple社のiPhoneのブームに近いものも感じられる。それは、現在のところ購入者がヘビーユーザーのが2台目として購入するという「ガジェット」要素が強い点である。iPhoneの購入者も基本はappleファンや少しクールなマシンにあこがれる酔狂な人々だからである。この「ガジェット」は日本メーカーにとって主要なターゲットには現在ではなりえない。日本メーカーのPC戦略は高付加価値を備えた高性能高価格PCにあるからである。これは、安価な価格競争では日本市場という限りあるパイの中では生き残れないからに他ならない(日本メーカー間で暗黙のカルテルが存在しているようなものだ)。しかしながら、日本メーカーの現行の戦略が正しいとは考えにくい。現在、日本の家庭でパソコンとインターネットは当たり前のツールとして存在している。少なくとも現在の日本の家庭においてパソコンは最低でも1台はあると考えて差し支えないであろう。日本のPC市場の頭打ちが言われて久しいが、これは1台目の市場がもはや買い替え需要しか存在しなくなった事を意味しているのではあるまいか。しかしながら、若年層ではPCは一人一台の時代になろうとしている。その意味においては、家庭用の1台目を結節点として各個人が2台目を有するという時代が到来してもおかしくはないのではないだろうか。UMPCは無線LAN機能を内蔵し、販売店では安価な無線インターネットサービスと提携することでアウトドアでもネットの使用が可能である等、どこでもインターネットに接続できるツールとしての意味を有している(この特性によりUMPCは「ネットブック」と呼ばれることもある)。現在、携帯電話でもネットつなぎ放題のサービスは登場しているが、携帯電話機は携帯電話であるが故に大型化することは難しい。その点で、安価で小型なネット接続機器としてのUMPCの存在価値は大きい。
UMPCはそもそも、発展途上国等においてPCを拡販する起爆剤として投入された。その為に価格は安く、性能は抑えられた設計となっているのである。しかし、先進国においてUMPCは開花した。先進諸国においてPCの高機能化は進んでいたが、多くの人々にとってPCの用いるインターネットやメール、文書作成等機能は限られたものであった。その限られた機能に特化していたのがUMPCだったのである。新たな筆記用具としてのUMPCは日本市場において着実に橋頭堡を築きつつあるように思われる(元々、日本国内にはPanasonicの「Let’Note」等の小型高性能ノートPC市場が存在していた素地もある)。日本国内という、そこそこの規模があるがゆえに安穏とした市場が存在するが故にUMPCに関心を持たなかった日本メーカーがメーカー淘汰を覚悟の上でUMPCを市場に投入するのか(富士通はUMPCの市場投入を表明している)、それともUMPCを海外メーカーによって侵食されPCメーカーとしての地位自体も失っていくのかはこの先半年程の日本メーカーの経営戦略に繋っているともいえるのではないだろうか。

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