2009/8/1
「今 君は何をしたの?」
この世は汚くボクを傷つけるだけ
こころを清く保ち
どんな人よりも上をいくボクを
誰も理解できないし知る事もない
だからボクは汚濁のない神の懐へ
還りたいと思うけれど
畦道で踏みつけられ潰れた花よ
君はきっと解ってくれるだろうね
わたしは幾年もここにしがみついている
小さな花です
この田の持ち主の翁の通り道
わたしは毎朝こうして踏まれるのです
時折翁についてくる幼子が
「とってもかわいい黄色い花」と
撫ぜてくれる手のやさしさが
わたしをこうして毎年奮い立たせるのです
「わたしとおんなじ・・・」
と未来を勘ぐる幼子のつぶらな瞳を
けなげな命の輝きで照らしたいから
いつか暗闇を押しのける小さな光を
こころの奥底に残してあげたいから
わたしはしゃんと花びらを上に向けていくのです
それでは魚をあさるやつれた白鷺は
ボクの気持ちを解ってくれるかい?
わたしは毎年この里山に足を向ける
老いた白鷺です
あまりに遠い山々を越えた旅路の果て
わたしは毎日こうして飛んでくるのです
何度もここで育てた我が子の
「おかあさまが一番大好き」と
甘えてくれた可愛い声が
わたしをこうして毎日舞い上がらせるのです
「さようなら おかあさま」
と巣立ちして2度と会えない子らだけれど
わたしが守り育て上げた満足が
この世に送り出した命のバトンが
こころの奥底に誇りとして流れて
わたしは安らかに野山を見渡していけるのです
ではこの世をすこやかに生きるためには
感傷的な思い出が必要とでもいうのかい?
ボクはこの世とはあわないし
ひび割れた思い出しかないのだよ
いいえ いいえ
あの健やかなる大地の隆起に聴いて御覧なさい
またはあの小さな湧き水の歌声に
耳をすましてごらんなさいな
命というものは他の命と重なる事で
広がりと輝きを一層深く増していくもの
こころの琴線を震わせることで
世界と宇宙と共鳴し神を現していくもの
生きた証が地図となって
シンプルな縁を描きだすもの
自分自身に何を残したのか
それが神に近づく切符というもの
愛ややさしさや勇気の満足
貯めこむものを選んでいるのはあなた自身なのだから
なるほど
ボクはボクに何を残したのか
失望と虚栄 無気力と傲慢
独りよがりの不満足
ボクはまだ何もしていない
この世に足跡をつける勇気もない
あの世にいっても御覧のボクだ
ボクは小さなボクでしかない
それでもあなたは踏まれて痛いだろうと
わたしという小さな花に気づいてくれたから
それでもあなたは餓えて汚れた白鷺に
こころの光を向けてくれたから
あなたの隣の人達に
同じように話しかければいいのですよ
こころの中で念じてたって
誰一人解ってくれようもない
誰かとつながる勇気がいつかは
小さな流れになって
違う流れと合わさり
小さな黄色い花と老いた白鷺と君と
ほらまたこの空や山と今つながっていくのですよ

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