朝食後、TE氏のシャツにアイロンをかけていたら、
「いつも済まないねえ〜」と病床に伏した長患いの人のような口振りでTE氏が申しました。
「そんないいのよ、お父っつぁん!」とは言わず
「いーえー」と軽く答える私になおも食い下がるように
「tenmamaはいい奥さんだよ!」と言います。なんなんだ?どうしたんだこの人?と、そこまで言われ、うろんな顔でTE氏を改めて見ました。
「私がいい奥さんなわけないじゃん!大体…」「いい!みなまで言うな!そうだ、君は料理も掃除もへっぽこだ!全然なってない!ソレは確かだ!紛れも無い事実だ!」首をブンブン振りながらキッパリ言うTE氏。
「ほぉ〜主婦として大事な二本柱が折れてるってワケですな?それでも果たしていい奥さんといえるのでしょうかね?」みるみる眉間に皺を寄せていきながらの
剣呑な妻の物言いに対して
「それでも、ま、いいのだ!」と言う普段に比べて様子のオカシイ夫。何このテンション。ちょっと心配になります。
「それでもいいというのは、そんなの気にならない程度になんだかワカラナイ魅力が私にあるというのかな?」と自分のいいように考えちょっと気を良くした私は
「それを凌駕する魅力があるっての?」とニヤニヤ聞こうと口を開きました。しかし、それにおおいかぶるように
「なんて、心が広いんだろう
俺は!!」
恍惚としたようなTE氏のデカイ声が部屋に響きました。あっけに取られる私に追い討ちをかけるように
「普通、そんなの嫁の貰い手なんてないよ?ないよ?俺はなんて度量が広いんだろう!素晴らしい俺!慈悲深い俺!」しきりに頷いています。
「ちょっと…なにそれ、私の…魅力がアレなんじゃないの?ふざけんな。」消え入りそうな私の声なぞ全く耳に入らぬ風なTE氏。稀なるハイテンションに見舞われた様子を暫くボーっと眺めていましたが、私とTE氏を知っている人は多分TE氏の意見に一票入れると思い至り、
ムッカー!とした気持ちを口をへの字にして表現しつつ、仕方ないのでアイロン掛けに戻りました。
人は真実を突きつけられた時、何よりも腹が立つそうですね。
チェッ!
