『ゴーダ哲学堂』
業田 良家 (漫画)
2007年
竹書房
☆☆☆☆
竹書房文庫の「GY-08」。1998〜1999年に主に「ビッグコミックオリジナル」(小学館)に掲載された「ゴーダ哲学堂」全24話を収録した文庫本。
「哲学堂」の名に恥じぬ哲学的な漫画。「人間とは何か」「人生に意味はあるか」という永遠の哲学的問題を自らに問うた著者の考えが漫画化されている。続き物ではなくオムニバスのような構成になっており、各回の登場人物も異なれば、まさに奇想天外と呼べそうな着想も全て異なる。登場人物としては「人間とよく似ているが人間でないもの」(ロボット、空気人形、哲学者(!))が出てくることが多い。そこで著者は、「あと何を足せば人間になるのか」という発想から人間性にアプローチしたり、逆に、本来人間ではないはずのものが本物の人間に酷似していることを示し、現代社会に生きる我々の人間性喪失を読者に訴えかけてくる。
私自身は、日本映画『
空気人形』(是枝裕和監督 2009年)の原作として興味をもち読んでみた(ただし、映画と本作は別物として考えた方がいいと思う)。正直、斜に構えたニヒリズムの世界を覚悟していたため、人間性を肯定する著者の力強さに驚かされた。自分は単純な人間賛歌やヒューマニズムには心動かされないのではないかと思うのだが、思索を重ねた末に放たれた著者のメッセージが、私には「絶望の先に見つけた生の全面的肯定」のように感じられ、癒されている自分自身を見つけた。
「哲学」というものは「学ぶ」ものではなく「する」ものだとよく言われる。「人生に意味があるか」なんて問いに「正解」はあり得ない。著者の回答も著者自身の考えであって、それが「正解」であるはずがない。この漫画を読んでいて、違和感を覚える部分も当然ある。しかし、「人生に意味があるか」なんてことを大真面目に考える人の少ない昨今(昔からそんなに多かったとも思えないが…)、自分なりの答えを見つけるのに大いに参考にしたい(「そもそも『人生に意味があるか』なんてことを問うことに意味があるか」を考えることも含めて)。結局、私は考えるために生きているのだ。生きるために考えるのではなく。
本書は文庫サイズのため原稿サイズの迫力を感じられないのが難点。画力で魅せるというタイプの漫画家ではないが、著者の作品意図をストレートに感じ取るためにはコミック版(『ゴーダ哲学堂 空気人形』(2000年 小学館 1〜10、13話)、『ゴーダ哲学堂 悲劇排除システム』(2002年 小学館 11、12、14〜24話))を読んだ方がいいかとも思う。オススメは後半! となると、『ゴーダ哲学堂 悲劇排除システム』か。
425ページ程度(「あとがき」を含む)。

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