「先頭はナリタブライアン強い強い強い!」
テイオー、ブルボンと強い二冠馬を目の当たりにして強さに目が慣れた後なのに
僕が初めて生で見た三冠馬はビックリするぐらいに強かった
どれくらいの衝撃だったかと言えば、それが強さの普通の規準になったために
その後の名馬が全部平凡に見えてしまったくらいだ
そう、僕はブライアンチルドレンなのだ
きっとオグリチルドレンやテイオーブルボンスズカグラスタキオンと
いろんな世代にインスパイアされて競馬を好きになり続けたチルドレンがいるだろうけど
僕にとってはあれほどの衝撃までいく生々しい強さはなかったと思う
そういえばブライアンが三冠を獲った横で小汚いジジイが
「ルドルフの方が強かったわ。ふん」
てな事を口走って馬券を破り捨てていた
それを見て素直に新しい何かを受け入れられないような歳の取り方はしたくないだとか思ったものだ
今思うと、あのジジイはきっとルドルフチルドレンだったのだ
僕らはみんなチルドレンなのだ
ひよこが初めて見た生命を親だと認識するように、僕らは初めて見た強さを最強だと信じて疑えない
初恋に弱かったりする
いつも新しい物を求めて生きているつもりの貴方だってきっと、
心のどこかで比べてしまう存在がある筈だ、そうだろう?
そして今年、数多のチルドレンを生み出すであろう天馬を僕らは目の当たりにする
ディープインパクト
だけど残念ながらこの馬を後世に伝えるのは僕の仕事ではない
この馬から競馬にのめりこむ多くのディープインパクトチルドレン達が伝えてくれるのに、
わざわざ僕が伝える必要性も感じない
今ならわかるが、あの日のジジイは別に素直じゃなかったわけではない
むしろ、素直だったのだ
だから、馬券を破り捨てる時の捨て台詞はもう決まってる
「ふん、何回見たってブライアンの方が強いわい」
どれだけ意味のない生き方をしたとしても、誰だって歳は取るのだ