農閑期突入である。
こうなるとしめたもので、私に限らず家族全員がニートと化す。
よって、平日朝に、ココスのモーニングバイキングで飯くってから昼寝、そんな暮らしでも、夏に比べれば全然心は痛まない。
母が押入れを整理していたら、私の記録が大量に出てきた。文集の類である。
読んでみた。
天才すぎる。
いや、もうね、こんなチラシの裏なんか、普通すぎますわ。
もうな、小学校5年ていうのはな、田舎だとカオスだぜ。
完全にオレの中での小学校高学年というのは、中学受験を控えた戦士という風に記憶が改竄されていたんだけどもね、全国的に小学校高学年というのは文章力がカオスなんですわ。
もう、まさにインフェルノレベルの珍文登場だ。いやー、田舎の小学生は馬鹿だぜ、うん。
どんくらいインフェルノでナイトメアな文集かと申しますと、もう秩序がねえんだ。
いきなり時制が飛ぶ、突然目線が自分目線から客観視に変化する、主旨をうっちゃった締めの文、もうなんでもありだ。
もう腹がよじれるほど笑ったぜ。
最初、「プロ野球選手になる」という将来の夢が発展し、途中から実況中継となってしまい、とりあえずクロマティーが敬遠で原が打ってるみたいな。なんでもアリだ。
実際な、子供てのは馬鹿です。
いや、下手したらオレみたいに18歳と9ヶ月くらいまで馬鹿なままのヤツもいます。
これは塾の講師をやっていると、非常にわかりやすい。オレが言っているのは暗記しての知識云々ではなく、要領の問題でな。特に国語だ。
まず小6くらいだと大差はない。
「次のアからオで、正しいものを一つ選べ」
「ウです」
「なぜだ?」
「ここにこう書いてあるからです」
これがどれだけ重要か。「次の文を読んで後の問いに答えなさい」この大前提が、不思議なもんで学年を経るほどに揺らぐんです。中3の田舎の子供に大学付属高校レベルの問題をぶっつけると、もう完全にジェノサイドであります。
「次のアからオの選択肢で、最も適切なものを選べ」
すさまじい時はアからオまでキレイに10人づつ人数が分かれます。そしてかわいこちゃんがセーフの選択肢グループに生き残っていると、ちょっとホッとしたりしてね。
まず「ウとエを選んだヤツ、切腹しろ。」と40パーセントが脱落する。残りの「ア・イ・オを選んだヤツ」の生き残り対決となります。
これが実におもしろい。
大体において、「5択の中で適切なのが3つも残るとは悪問であり、正解できる必要はない」などと問題集は解説します。この段階でインフェルノですよ。
「最も適切なものを選べ」と書いてあるのだから、絶対的判断ではなく相対的に判断すべきでしょう。究極的な神問題として、いつだかの亜細亜大学の現代文の問題なんて「5つの選択肢で1つが問題外で4つが適切、さあベストはどれだ!?」という問題が、なめらかに「次の選択肢で最も適切なものを選べ」なんてサラッとやられる。この神問題は、ほとんどの問題集で「解答不可能」扱いされてる。バカですわ。市ねばいい
田舎の中三、そのうち5択で生き残った60%が、どれが正解なのか激論大会。その間、オレは飛行機雲ながめながら、ピーナッツでも食ってればいいというね。
で、結論として「心配すんな。ヤマナシの高校入試ははるかにぬるい。ちなみにこの問題は大学入試よりも難しい。心配いらん」と種明かしとなる。
もう大学受験となると、カオスどころかキリングフィールドでしょ。
「例の方法」なんて頭のおかしい本が出たり、問題ごとに回答方法が変化して、それを法則にして全部覚えろとかメチャクチャすぎる。
「次の文章を読んで、後の問いに答えよ」
文章の中に答えが書いてあるのに、教える側も学ぶ側も、事態を複雑にしてるだろ。
「次の文章」の中で「カラスは白い」と書いてあったなら、黒いものも白くなるのが「次の文章を読んで後の問いに答えなさい」なのだ。回答者の常識や思想は一切聞いてない。
この単純なる事実が、歳を重ねる毎にネジ曲がり無視される。そしてオレ様の口座に小銭が振り込まれる。まいどあり〜。
やっぱり、小学生が一番いいよ。塾の先生やってて一番やりやすい。
「このときのタツノオトシゴの気持ちは次のどれですか。じゃあそこの巨人帽答えろ」
「3のかなしかった、です」
「なんでだ?」
「32行目にかなしそうな目で見たとかいてあるからです」
「グッジョブ」
これだけでいい。
でも、こいつらが作文を書くと、オレのお母さんが押入れから発掘した卒業文集やらのカオス状態になるからおもしろい。音読して珍奇認証テストをしなかったのかこのバカどもは!まあオレもだけど。オレの作文は「器用に右打ちしたら井口の正面でゲッツー」みたいだったな。背伸びして失敗みたいな感じ。一番多いパターンは「セコンドの指示通りにジャブからワンツーを打ってたのに、途中から大振りになってカウンターくらう」みたいなヤツだな。初心忘れましたみたいな作文だらけでおもしろい。爆笑問題のラジオに送ったら即戦力間違いなしなんだけどなあ。もう募集してないか。
とりあえずですな、小学校で珍奇文炸裂をやらかして、中学校で読書感想文の宿題に悶絶しても、「次の文章を読み後の問いに答えよ」を忠実に実行すれば、人生なんとかなります。逆に読書感想文のトーンで「次の文章を読み問いに答える」と、カオスのままです。予備校講師やってて一番めんどくさいのが、こういうヤツ。「オレがこう思ったんだから、それが答えでなにが悪い」と居直る、野坂昭如みてーなヤツだ。
チンピラが3ヶ月で東大や早大プレ模試の上位成績者に掲載されるのが国語のロマンだよ、お嬢さん方。
ちなみにオレ様の小学校4年時の文集テーマは「身の回りのモノになったつもりで作文しよう」なのだが、学年児童の6割が「教室の時計」だ。なんなんだろう、この偏りは‥‥。黒板消しとか、そろばんとか、選ばないんだよ。ちなみにオレは笛。アウトサイダーとして「教室の時計」に流されずに縦笛をチョイスしたのはオレ様とすれば及第点だが、文章が亜空間すぎて腹いてえ‥‥。
まあこんな田舎のアホキッズの文集であるが、こいつらが後にセンバツに出場したり、現役で地元国立大に多数進学したりするから心配はいらないようだ。ただ、「心配だ」というにほいを出しているやつは、確実に高校を中退してるな、うん。なぜかオレも含まれるんだけどな。

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