欧州南天天文台は25日、南米チリに設置した望遠鏡の観測などで、太陽系から約22光年離れた3連星の天体グリーゼのひとつ、グリーゼ667Cのまわりを回っている惑星のうち3個が、生物がすむのに適したハビタブルゾーンの中にあることを発見したと発表した。
ハビタブルゾーンは、恒星からの一定の範囲内にあって、水が液体で存在しうる場所。
惑星は地球よりサイズは大きいが、地球型惑星とみられるスーパーアース。
系外惑星が見つかりはじめた当初は、恒星の前を横切って、光度の変化や重力によるブレから惑星の存在を計算するため、影響を与えるだけの、恒星に非常に近いところを通る巨大な惑星、すなわちホットジュピターしか見つけられなかった。
そのため、一時はNスペなどでも、そういう惑星ばかりが発見されるから、系外惑星はホットジュピターが多く、ホットジュピターがある星系では地球のような惑星は弾き飛ばされるなどして存在しないので、宇宙に生命のいる可能性は少ないのではないか、などという説まで紹介されていた。
だが言うまでもなく、ホットジュピターばかりが見つかっていたのは、観測技術の限界だったからであり、その後、技術の向上で地球サイズの惑星も次々と見つかっている。
実際にはものすごい数のアース級かスーパーアース級の惑星があるのではないかといわれるようになってきた。
ハビタブルゾーンに位置する地球型惑星もかなりあるだろう。
当然、地球で生命が発生したように、一定の条件が整えば、他の惑星でも十分可能性はある。
地球だけが特別なわけではない。地球を特別視するのは、言うまでもなく、人類がそこに誕生し、生態系が豊かだからでもあるが、一神教的な人類優越主義で地球を特別視するような思想的背景が、科学者にも影響しているのだろう。
だが、極超広大な宇宙では、地球のような惑星はごく一般的なのかもしれない。
当然、生命もいておかしくはない。
地球のような環境でなくても、生命は誕生する可能性はある。
知的生命体も当然いると思う。
案外、地球人類は、余所の知的生命体から見れば、自分のところが一番だと勘違いしている「夜郎自大」なのかもしれない。
それともうひとつ、今回の発見で興味深いのは22光年という距離。
SFでは当たり前のように出てくるが、将来、恒星間移民が行われるようになったら、この3惑星も候補になるかもしれない。
22光年は、今の技術では何千年もかかる距離だが、未来の技術を今の知識で論じることは出来ない。何十年か、何百年か先には、超光速技術を確立しているかもしれず、そうなれば22光年は非常に近いだろう。
また、超光速技術はできなくても、巨大な宇宙船で世代を超えて移民を行うとなれば、やはり候補の一つになるかもしれない。それくらいの距離だ。
いろんな夢や知的好奇心を掻き立てられる発見だ。

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