最近、株主になって会社経営に口を出すムラカミストな経営者が増えておるようです。
阪神タイガースの筆頭株主になった村上氏をはじめ、セシールを事実上買収した掘江氏、TBSの大株主になった三木谷氏と、ファンドやネット企業の経営者らが既存の企業を支配していく。
ホリエモンのセシール買収の場合、セシールが通販事業でネット利用に出遅れた関係で経営不振になっていることから、ライブドアの通販事業拡大とセシール側の思惑とが一致した友好的買収となった(まあ、社員や他の株主の意向はどうか知らないけど)。前のニッポン放送買収でゴタったのもあって、慎重に動いたのだと思う。選挙への再出馬のこともあるし、イメージ戦略を採っておきたいのだろう。
三木谷氏はそのイメージを壊したくないので、とりあえず話し合いに応じる姿勢を強調し、乗っ取りでは無いことをアピールしている。とはいえ、横浜ベイスターズのUSENへの転売を示唆したり、銀行に(公開買付用の?)融資増枠を頼んだりしてるなど思い切った手段も準備している。それに、イメージで言うなら、TBSへ関わることで、楽天ゴールデンイーグルスに対する思い入れがないようにも思えてくる。所詮は球団もビジネスなのかと。
で、村上氏のタイガース株主。
一番、マズったのはこれだろう。球団はファンあっての企業で、他の企業に比べずっと表向きの会社だ。コアなファンが多いタイガースなら、上場すれば高値が付き大もうけできる、とふんだのだろうけど、ファン心理とかスポーツへのビジネス参入という買収への悪いイメージを考えなかったのは失敗ではないか。単にタイガースだけの問題じゃなく、村上ファンドのイメージが悪くなる。特に本人がメディアで悪態と見られる態度をとるのはよくない。ファンドのイメージが落ちれば、買収先の企業の株が上がるとは限らなくなるし、そうなれば、ファンドに資金を出す基金なども手を引くことになりかねない。ちょっとやりすぎた観がある。
欧州ではサッカークラブの株を上場して資金を集め、スタジアムの改修をしたりすることはよくあるけど、海外企業が買収しようとして問題になるなど弊害もある。上場すればいいとは限らない。
また、敵対的買収を警戒して株の自社買いが進み、基準に満たなくなって上場廃止という展開も増えている。株式市場への影響も大きい。
最近は、この他力本願的、他人のふんどし的経営が普通になってきている。全部が全部悪いわけじゃなく、情報化社会の速度に追いつけないので、そうせざるを得ないところもあるし、停滞した経営や人事が動くことになってよい結果を生むこともある。
大株主になるものから、持株会社設立、共同プロジェクト、共同子会社、派遣社員やパートの増加、コーチングビジネスなど、みな自分のところで人材や技術を育てるのではなく、よその力を借りる経営に関する現象だ。
タリキビジネスは、支出を抑えられて、無駄がなくなり、即効性もあるのだけど、人材や技術の空洞化も進む。順調に行っていたプロジェクトが、そのために買収されて中途で使われてしまうと、出来るものが出来ず結果的に損失が大きい。また、新しい技術の開発を行わなくなり、やはり長期的に見ると、発展が阻害されてしまう。
掘江氏は彼個人の会社で宇宙ビジネスに乗り出すそうだけど、使う機材はロシアがソ連時代に開発したロケットと宇宙ステーションのユニット。再利用と言えば聞こえはいいけど、安全性の疑問もあるし、なにより宇宙技術の開発につながらない。むしろ英国のヴァージングループなどが関わってる新型ロケット開発ビジネスの方がよっぽど先進的だし、宣伝にもなる。
一つくらいは、自分のところで生み出す確実な何かを持っていないと、企業も国家もダメになってしまう。
何事も、やり過ぎれば反発を買って潰され、急ぎすぎれば滅ぶのも早い。
村上ファンドはともかく、ライブドアや楽天は直接多方面へビジネス展開できるのだから、その巨大な資金力の一部を割いて、自分の所にしかない何か(ビジネス手法じゃなく物理的な何か)を開発してみたらいいのではないか。そのくらいは銀行も融資するだろう。
M&Aコンサルティング
http://www.maconsulting.co.jp/
楽天
http://www.rakuten.co.jp/
ライブドア
http://www.livedoor.com/
ヴァージングループ(英語)
http://www.virgin.com/
USEN
http://www.usen.com/index.shtml
セシール
http://www.cecile.co.jp/

0