5月31日はWHOが定めた世界禁煙デー。
タバコの害を広く認識させるための日。
紀元前からの歴史があるタバコ喫煙が世界中に広まってから500年くらいは経つはずだが、健康問題が出てきたのは、ここ20年くらいだ。それだけ普遍的な嗜好品となっていた。
もちろん、言うまでもなく、吸っている人も、周囲にいる人にも、著しく健康に害を与えているのは科学的に明らか。
だが、なぜか、いまだに「科学的ではない」と主張する喫煙者は多い。かなり一流の科学者ですら、タバコの害のことになると、非科学的と主張して抵抗する人もいる。非常に不思議だ。
また、マナーを訴えるCMなども盛んに流しているにもかかわらず、喫煙者のマナーは至極悪いまんま。ほとんど改善していない。
一般的に、落ちているゴミのほとんどがタバコの吸殻。というよりタバコの吸殻以外のゴミはほとんど見かけない(場所によっては他のゴミが多いところもあるが、そういうところでもタバコの吸殻は相応にたくさんある)。禁煙施設やオフィスビルの玄関先に吸殻がいっぱいあるのはしばしば見かける。ポケット灰皿を持っている人は少ない。
路上禁煙区間や駅のホームなどで平然と吸っている人はかならずいるし、むしろ吸ってなにが悪いのか、というふてくされた態度を見せている人も結構いる。
人ごみや、通学路で歩きタバコも当たり前にやっている。
飲み会とか、あまり喫煙を指摘されない場所で、他人に平然と煙を吹きかけて、「悪いねー」などと笑ってやめないようなのもよくある光景だ。
散々吸ってきて、肺がんになって大変な目に遭うと、今度は一転、「タバコの害を伝えなかったタバコ会社が悪い」と自分の行為を棚に上げて訴える人もいる。
以上のような現象だけを見ると、少なくとも、喫煙をしている最中は、脳の働きが著しく低下しているのではないか、と疑いたくなるような非常識さが目立つ。ふだんイイ人も、喫煙マナーに関しては最悪であることが多い。注意されるとキレるのも喫煙者に共通している。
やはり、なにか脳に非常に影響があるのだろう。神経伝達を阻害するような何かが。露骨な言い方をすれば、バカになっているような感じ。脳の衰退も一般人より早いのではないか。
もっとも、聞いてみると、喫煙者でも、辞めたがっている人は多いようだ。吸っていないときは、タバコがよくないことは理解しているみたいだ。それがなかなか難しいらしい。
もっとも、タバコをかっこいい、と思っているのか、気取ったポーズで吸っている人間(特に女)をみかける。
これは、いまだに電車の中でわざとケータイでしゃべって、「おれケータイ持ってるんだぜ」と見せびらかしている(たぶんはじめてケータイを手にしたのだろう)10代後半くらいの若者と同じくらい恥ずかしい。ケータイ見せびらかしは、13、4年位前はよくいたが、1億人近くが持っているいまでもたまにいて噴き出しそうになる。
最近は、病院で禁煙訓練を行うところも出てきている。
確かに、麻薬中毒やアルコール依存症の場合は、専門の医療機関で脱中毒と復帰への訓練を受けるが、タバコはこれまで行われてこなかった。中毒性で言えば、一部の麻薬や酒よりはるかに危険であるにもかかわらず。ただし麻薬の大半は、言われているように「タバコより害は少ない」ということはない。麻薬は超害悪だ。
タバコは古くから一般的になっていたこともあって、他の化学物質に比べて、危険を問題視されてこなかった。
だが、いまは非常に危険なものであることは明らか。
また、生まれてこの方、吸ったことがない、という人も増えていて、そういう人にとっては、タバコは非常に不快で臭い。喫煙者の体臭は、吸っていないときでも、タバコの臭いがすることが多い。これは喫煙者はよくわからないらしい。消臭スプレーやタブレットもあるので、臭い消しはある程度できるが、吸った直後はもう、すごい悪臭を振りまいている。
誰もがタバコを吸っていた時と違い、今は、非常にタバコのにおいは敏感である。それ自体はむしろいいことだ。もっと自然のいろんな香りを楽しめるほうがいい。
ほぼ確実に癌や肺病に罹り、マナーで嫌がられ、悪臭を撒き散らしている、ということをもっと自覚すれば、みっともなくて吸えなくなると思うのは、吸った事のない人間の甘い発想なのだろうか。それともある程度自覚があるから、喫煙を指摘されたときにキレるのだろうか。
正直言うと、健康面を含めて、他人に迷惑をかけている現状では、ある程度強制的に制限を加えるか、極端なタバコ税をかけても良いのではないか。税収を増やすためではなく、禁煙に踏み切る良い機会として。
それが嫌であるならば、喫煙者はもっと自覚をもって、マナーに注意すべきだと思う。「迷惑をかけていない」ということは100%ありえないのだから。

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