チリ地震による津波は、1万数千kmを越えて日本に到達し、太平洋沿岸全域で観測された。
実際には予報時刻より30分から2時間くらい遅れて津波が観測されている。
岩手県の久慈港や釧路花咲港、気仙沼港や市内、広尾町、女川町、高知の須崎港など各地で海水が岸壁を乗り越え、港内部に入り浸水した。東北地方各地では験潮所で1m前後を観測している。
いずれの場所でも、最初の波より、あとの方が高くなっている。
千葉鴨川では河川を逆流する現象が、伊豆下田では側溝から水があふれ出る現象も確認された。
人的被害はなく、建造物の被害もほとんど無いようだが、養殖施設の被害がかなり出ている。
太平洋岸の広い地域で鉄道路線の運行が中止されたほか、沿岸部を走る高速道路などが閉鎖となった。休日だったが、間接的影響は大きかっただろう。
波は3時台後半から徐々に高くなって、午後4時半過ぎ頃から、海面が何度も高くなったり引いていく現象も確認された。これは、津波が日本列島の他の場所、比較的近い大陸や大陸棚などにぶつかり、細かく反射するようになったからと思われる。夜になり、西日本でも高い波が観測されて、須崎港は1m20cmに達した。
遠隔地からの津波は、各地で反射して長時間にくり返し襲ってくるため、再度満潮になる明朝までは警戒が必要だという。
同じ太平洋岸でもほとんど潮位が変化しない場所もあるなど、ここにこれだけと言うことが一概には言えない。海岸の地形や、海底の地形、防潮堤の有無、海を挟んだ対岸の地形、島の存在、大陸棚の位置、潮汐などでも変わる。現在は、地形は詳細にわかってきており、スーパーコンピュータによる解析も出来るから、それらを詳細に検討すればわかるだろうが、地震から早ければ数分、遅くても数時間から1日程度で到達する津波を到達前に正確に分析するのは難しい。過去のデータから判断することになる。今回のデータは次の津波の参考になるだろう。
今の民主党政権は、ド素人による事業仕分け作業で、スーパーコンピュータの開発を無駄だと断じたが、人間の命に関わることだけに、金をかけるべきところは大いにかけてもらわなければならない。
天変地異が災害になるのは、人間の行動如何、社会体制の政策如何だ。今の状況、現政権下では政治家の無駄遣いはそのままにして、必要な研究などの予算を削ろうとしている。防災に対して大いに不安が残ると言わざるを得ない。

0