北朝鮮の朝鮮中央放送は、17日に金正日総書記が視察に向かう列車内で倒れ、心筋梗塞で「殉職」したと発表した。
あわせて金正恩を「大将」ではなく「領導者」と称した。
金正日が金日成から継承したときは、父親が健在の間に用意周到に準備が進められ、徐々に「功績」を演出し、内部での権力確立のあと、海外にも公表した。
しかし今回、金正恩の後継者内定はごく最近で、そのための準備も非常に遅れている。
さしたる功績もなく、その功績として示そうとしたという説もある、「デノミ」は無残な失敗に終わり、「延坪島砲撃事件」は韓国との関係を悪化させた。極端に言えば、祖父の金日成を真似た髪型くらいしかネタがない。
金正日の妹金敬姫の婿のチャン・ソンテク(張成沢)らが周りを固めているようだが、異母兄で後継者ではなく見た目もいまいちだが、頻繁に外国で経済活動をし、メディアにもよく出てくるキム・ジョンナムの支援勢力もあると言われ、内部対立の可能性もある。
さらに崩壊寸前の経済状態は深刻で、実は国民の多くは、キム一族への忠誠心は殆ど無い、という見方もある。経験がなく、「経歴」もなく、若くて、能力も未知数の人間に、独裁政権が維持できるだろうか。シリアの2代目アサド政権が内戦状態になっているように、混乱が拡大し、そこに波及を恐れる中国が介入すれば、韓国と中国の対立も激化するおそれがある。
父親の枷が外れ、若い金正恩が、思い切った方針転換で、先軍政治ではなく、外交を重んじ、軍事にかけた金を経済回復や農業などに回す、当たり前の政治が出来るかどうかにかかっている。それが出来れば、国民は形だけでなく支持するし、周辺国との関係も改善するだろう。
日本政府は情報収集に努めているが、どうも後手後手に回っているような様子だ。
原子力施設などの警備を厳重にしているという情報も流れているから、自衛隊も在日米軍も警戒に入っているだろう。韓国軍はすでに非常警戒態勢に入っている。
きちんと対応出来なければ、半島での有事が発生した場合、日本も大きな影響をうけることになる。それと拉致問題についても同様だ。
ただ、指導者の死ということで、国葬などの行事が続くから、内部でどういう派閥や対立があろうと、すぐに有事になるとは考えにくい。

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