つくば市で、3億円をかけて建設された大きな木造試験校舎を燃やす実験が行われた。
これは木造建築物の建築基準の緩和を検討するための実験。
現在は木造で学校を建てるときは、2階までの制限がある。
しかし、木造建築は見直されてきており、学校の建材として使いたい、という要望があるため、火災実験をおこなって、その延焼の仕方などのデータを集め、規制緩和を検討するためだ。
小学校の校舎は、関東大震災の時まではほぼ全て木造だった。
震災で東京の小学校は1校を除いて焼失。
その後、コンクリートの校舎建築が始まる。これを「復興小学校」と称したわけだが、これが現在の学校建築の基本となった。復興小学校は、アーチを多用した表現主義の建物や、合理性を全面に押したカチッとした四角い今の学校のモデルとされる国際様式など、当時のデザインの斬新さを求めた建物が多い。
戦後になって学校は全国皆同じようなデザインとなったわけだが、近年、再び個性のあるデザインが目立つようになってきた。
そして木造建築も復活している。
理由には、健康目的、教育効果、産業育成がある。
健康目的は、アレルギーなどの原因となりやすい化学物質を避け、自然の素材を使おうという目的。
教育効果は、校舎を自然素材にして、環境問題を身近に感じられるようにして、子供たちの教育に使おうというもの。温度差を抑えて冷暖房費を抑え、地球環境問題も論じることが出来る。
産業育成は、地元の木材を使うことで、製材産業を活性化し、それによって間伐などの山林保護にも持っていくことが出来る。
今回の火災実験は、実験棟だけで3億円かかっているわけだが、規制緩和による地場産業への育成を考えれば安いかもしれない。
また、完全に木製にせず、一部を難燃材にするハイブリッドにしたり、木材に難燃性の物質を散布して燃えにくくするといった方法もある。木材そのものを合板加工して燃えにくくしたり、建物の構造的に一部が燃えても、他に延焼しにくいようにする方法もあるだろう。
既成概念にとらわれないことが、新しい時代を生むということだ。

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