中国の副首相が、いきなり帰ってしまった問題。
結局、靖国神社参拝に関する発言に腹を立てたから、と言う理由になった。
腹を立てたから、帰る、というのはまた、ずいぶんと子供じみた態度だ。
まあ、いまの中国は、なりはでかいが、中味は小役人っぽくて、みみっちいところがあるのは否めない。
いにしえの英雄豪傑の国、って感じでもないし、周恩来なんかがいた頃に比べてもコマイ。三國志とか水滸伝の好きな日本人にとっては、いささかガッカリするような所も。
気にくわんのなら、堂々と会談して意見を述べればいいのにねえ。
そもそも靖国神社のことを言い出したのはそんなに古くないんで、明らかに
ネタとして使える、と持ち出してきたようなものだ。それに触らぬ神にたたりなし、のつもりでごまかしてきたもんだから、いよいよ外交ネタに使われてきている始末だ。ついでに韓国までこのネタを使っている。A級戦犯のことで言うなら、韓国はあまり関係ないような気もするんだけど……。
シビアな大陸国家は、見せた弱みをとことん突く。理由なんて後付でどうにでもなるわけです。
礼教の国って言っても、まあ、それは建前と言うか、形式の話だし。
儒教が浸透したのは前漢末か後漢初頭のことで、一般に言う前漢武帝の時ではない(前漢武帝の時は法家主義。元来黄老思想だった皇族が儒家を否定しなくなっただけで、儒家官僚はまだ地方官にちらほらの頃だ)。
孔子の頃から国教だったわけじゃないし、ましてや国教になった頃は、孔子の頃の教えからかなり逸脱して都合のいい解釈になってからだ。
しかも、中華思想と王化思想が儒家に融合したもんだから、ずいぶん偉そうな話になってしまっている。
今回のように、やってることはみみっちいくせに、中国外交部報道官の澄ました偉そうな態度(そういや、あの人、孔姓だな)。
なんでか。
中華思想は、世界で
唯一の国が自分たち、というもんで、世界の中心で覇を叫ぶどころの話じゃない。皇帝は、天の代理人だから、本来2人も3人もいるようなものではなく、まして王の中の王でもない。絶対唯一の存在なわけ(始皇帝の時は、もっと極端だったという)。
そして王化思想は、蛮族に教えを説き、文化を広めるという発想である(でも蛮族が対等国になることはない)。
そんなだから、日本に対して、中華思想的に無礼な振る舞いをしたうえで、王化思想的に教え諭しているような態度でしゃべるのである。
ちなみに儒教がもっとうるさい、韓国についても同様。昔から中国・朝鮮にとって日本は蛮国扱いだったのは、かの国の史書にもあるとおり。
北朝鮮がのらりくらりという態度を取るのも、そのあたりに理由の一端があるだろう。
グローバル世界の中では、外交ルールとかいろいろあるんだけど、それを平気で破れるのは、まさに儒教一尊のせい。ワールドジャイアニズムである。おまえのものは俺のもの、俺のものは俺のもの、になってしまう。
もっとも、中華思想が現実にそぐわないことも歴史の常。
前漢時代の半分は、匈奴とは敵国(敵対国ではなく、対等国という意味)の関係にあった。しかも、匈奴の方が兄で漢は弟。武帝の前半時に衛青と霍去病のおかげで匈奴に勝てたにもかかわらず、後漢、三国、西晋、東晋と匈奴や各北方騎馬民族には悩まされたのであった。正史三國志に烏丸とか南匈奴とか出てくるが、某マンガなんかでは中国の外のように描かれてるけど、実際は中国国内に深く入り込んでいた異民族である(詩人蔡文姫を娶った南匈奴は洛陽近辺にいた)。曹操によって痛めつけられたが残り、のちに五胡十六国時代を作ったのは彼らだ。
隋唐以降は、しばしば騎馬民族王朝が中国を征服している。
それゆえに漢民族は、建て前と本音を使い分け、日本にもその考え方は伝わったが、日本の場合は、争いを避けるために建前を重んじるのに対し、中国の場合は、争いの準備を整える間、建前で対応するような所がある。
だから、日本に限らず、欧米も、結構中国に知らず知らず丸め込まれたりしている。
いまの中国のみみっちさは、やっと強くなり始めて建て前と本音の差が縮まり、自信がついてきたところに、官僚的な小性格がにじみ出てきてるからだろう。
中国の態度に一喜一憂する昨今。
変に争う必要はないけど、少しは中国の態度の裏側を見た方がいいだろう。
少なくとも、中国の態度をネタに小泉首相攻撃を展開する岡田民主党代表なんかは、目が外にも内にも向いていない、党利党略だけの人になっちゃってる(とほほ)。
世論調査で、小泉政権支持の最大の理由が、
他よりマシだから、というのはもっともである。

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