レジ袋有料化の話が出ているそうである。
年間使用量30万tにもなるというビニール袋、大半が再利用されずにゴミとして処理されるため、環境問題を考えて、有料化で減らそう、と言うことらしい。
もちろん、法律でそうするかどうかは未定だけど、一部のスーパーや自治体では進められているので、大いに推進される可能性は高い。
6月からは、クールビズと称して、ノーネクタイ、ノー上着運動が行われている。軽い服装にしてクーラーなどの使用を減らし、すなわち発電量を減らして、二酸化炭素の排出量を減らす一助にしようというわけだ。
レジ有料化もクールビズも、別段、悪い事じゃないのだけど、業界的には決しておもしろい話じゃなかろう。売れなくなるわけだから。
一般消費者にしても、あまりいい話というわけじゃない。
「環境」を盾にされちゃ、文句も言えないし、レジ袋に代わる方法はいくらもあるんだけど、利便性は後退する。
クールビズもレジ袋有料化も、方法は悪くないんだけど、どこか、後ろ向きな感じがある。
あまり、科学技術的じゃない、と言うか、人類の進歩性質と少し違う、と言うか。
地球温暖化を避けるためには、化石燃料の燃焼は、確かにやめた方がいいけど、代わりの発電方法はいくらでもある。しかし、クールビズ的な環境保護は、精神論としては結構なことだけど、それだけで地球環境が劇的によくなるというほどのことでもない。身近なことでもみんながやれば大きなうねりとなる、と言う意見もあるが、豊かな社会を享受している人類に、その文明を後退させてまで出来るほどの何かはない。
たとえば、風力発電がある。風力発電は環境に優しいというが(渡り鳥はぶつかって死ぬけど)、それを数億基、ありとあらゆる場所に立てても、文明の進歩に寄与するほどエネルギーは生めないし、当然、さらなる豊かな社会になるわけじゃない。心の豊かさは、口に出すべき理想論であっても、現実問題ではない。だから貧乏人や貧乏国(とあえていいますが)を説得する材料にはならないし、アメリカを説得する材料にもならない。
もうひとつの、ゴミ減量としてのレジ袋有料化もそうだ。その発想自体はいいけど、それはゴミを根本的になくすような仕組みじゃない。
たとえば、ゴミの回収・再利用の技術的方法とか、生分解性の袋にして、ゴミをゴミじゃなくするような方法とか、臨界水による処理や高温分解といった、分別の煩わしさを減らして安全に処理する方法のような、技術的進歩のある手法を考えた方が、より環境効果の高い結果になり、経済効果も上がるから、環境対策に否定的な国への説得力も出てくる。
経済効果とか、理想論からすれば生々しい現実話は、いやな感じもするだろうが、効果があってこその環境対策であることも忘れてはいけない。それに、技術を進歩させてこそ、人類というものでしょう。
一見、良さそうなことは、あまり検討も批判もされないけど、実は問題も内包しているものだ。
クールビズも、レジ袋有料化も、一時的な手段として導入し、その先には、もっと根本的で発展性のある手段を研究導入するように、政府も識者も大いに検討・主導してもらいたい。

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