2009年5月に裁判員制度が導入される。
これは、重大事件の刑事裁判に国民から無作為に選ばれた6人の市民が参加し、被告が有罪か無罪か、有罪であればどのような刑が適当かを3人の裁判官と決めるというもの。
欧米各国で多く見られる陪審員制度に似た制度だが、なぜ、導入されることになったのか、今ひとつわからない。まさか、欧米でやっているから、と言う理由だけで決めたのなら(ありそうなことだが)、ちょっとどうかしている。
それじゃ、巨大な風力発電の風車やサマータイム制度と同じだ。日本の実情にあってないものを、良さそうだから、と言う理由だけで入れるわけだから。実際には問題だらけ。
戦前、日本にも陪審員制度はあった(陪審法)。484件の裁判が行われ、昭和17年に法律停止。つまり現在もこの法律は生きている。
それとは別に新たに裁判員制度を導入することにしたのが、この法律。正確には参審制度と言い陪審員制度とは違う(陪審員は有罪か無罪かだけで刑罰の内容までは決めない)。しかもなんだか知らないうちに決定されてしまった。決定されたあとで説明のためのビデオだの、模擬裁判だの、タウンミーティングだのを行っているが、国民への浸透度合いは低いまんま。
一番の疑問は、裁判員を断れるのか、と言うこと。
個人個人いろんな用事があって、自分とは無関係な裁判どころではない事は充分あり得る。
しかし、基本的には、議会会期中の地方議会議員、70歳以上の老人、学生以外では、重病や妊娠などの理由がない限りは断れない。
しかも、選ばれると、裁判の信頼を損ねないために、法令に従うこと、守秘義務を守ることなどを宣誓させられ、しかも理由なく出頭や宣誓を拒否したりすると
罰金刑に処せられる可能性もあるのだ。
また、殺人や放火、児童虐待などの重大事件のみなので、場合によっては裁判員が脅迫されたり、逆恨みを買ったりする可能性も高い。それについて、裁判員に危害を加えることは罰せられる、と言う法律があり、場合によっては裁判員無しの裁判も可能とあるが、保証されるかどうかはわからない。
なんか随分身勝手な制度である。
裁判員制度の何がよくて導入を決めたのか。
法務省曰く、「国民の感覚が裁判の内容に反映されることになり,国民の司法への参加が大きく進むことになります」
???
欧米の陪審員制度ですら、人種差別を思わせる不当判決ではないかと暴動になった例もあり、必ずしもうまく行ってはいない。
そして、いま、裁判が果たしてまともに機能しているか、と言う問題もある。現行の制度すら危ういのにここで裁判員制度がうまくいくのだろうか。
今日、オウム真理教の松本智津夫の控訴棄却が決定したが、理由は、控訴するときに提出する趣意書を出さなかったからだ。鑑定を拒否されたからと言うのがその理由だが、子供じゃないんだから、わがままこいて制度を無視してどうする。もっと言えば、凶悪事件ほど、弁護士は精神問題を理由に無罪の方向へもっていこうとする。死刑に反対するのならまだしも、無罪など論外だ。弁護しようがないからか?
それでちんたらと何年も裁判を引き延ばし、地下鉄サリン事件の5500人もの被害者の多くは訴えることすら出来なかった。市民の人権はまったく弁護士のおかげで踏みにじられている。
一方で弁護士はバラエティ番組などではしゃぎまくっている。市民の多くがマチキンの借金トラブルで苦しんでいるというのに、その問題に取り組む弁護士の少ないこと。弁護士のところに行くと莫大な費用を取られ、しかも弁護士の多くは地方に行こうともしない。弁護士がいないために、裁判所が出来るところを担当しているところすらある。
山口県の母子殺害事件では、弁護士が裁判を欠席し口頭弁論が開かれないという非常識なことまで発生した。理由は「
日本弁護士連合会が開催する裁判員制度の模擬裁判のリハーサルで、丸一日拘束される」から。
ちなみにこの裁判に欠席したのは、死刑廃止運動をしている安田好弘、足立修一弁護士。この事件の被告が死刑になる可能性が高いのは言うまでもなく、明らかに意図した行為である。死刑に反対なら、他に手段もあるだろうに。
裁判員制度のリハーサルを盾に、こういう卑怯なことをして、死刑廃止だの、人権だのを訴え、司法制度をないがしろにする弁護士をそのままにして、欠席したら市民が罰せられる裁判員制度を導入する理由がわからない。
裁判員制度を導入する前に、まともに裁判の出来る司法専門家を養成するのが先ではないか?
電機用品安全法は猛反発を買って結局形式的なだけになって、事実上適用されないことになったが、裁判員制度も、導入段階になって問題が多発し、大騒ぎになる可能性も充分考えられる。裁判員に選ばれた人間が、不利益を被るようなことになったら、マスコミあたりが取り上げることは目に見えている。
弁護士に加え、裁判員制度までが司法制度に対する信頼を失わせる最大の原因になる日も近いか?!
法務省裁判員関連(都合の悪そうな話はまったく載ってない(笑))
http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/

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