今日、気温が結構上昇した。
明日はさらに上昇し、南関東でも夏日になると言う予報もでている。
今年は2月に暖かい日が続いたかと思えば、4月も後半に入ってから、急に1ヶ月近く逆戻りしたような寒さが続くなど、体調を壊してくださいと言わんばかりの気温の変動である。
これは三寒四温の春の特徴でもあるし、1ヶ月の気温の違いが大きいからこそ、目立って感じられるためで、これがそのまま温暖化の現象というわけではない。
しかし、様々な場所で温暖化ではないかと思わせる現象が起こっている。
動物や植物はこれまでの季節より早く活動を始め、あるいは珊瑚のように死滅し始めているところも出てきている。
南太平洋の島国では満潮時に地中を伝って海水がわき出す現象が相次いでおり、また海岸線が浸食されて土地が減っている。
北極でも万年氷海だった場所が夏には氷が溶けて海面が現れ、それが徐々に北へと広がりつつある。今世紀半ばには北極海は夏に完全に氷が消滅するだろうという予測もある。結構なことのように見えて、これで生態系は大幅に変わってしまう。大型の海洋動物で絶滅するものも出てくるだろう。
さらに、ここ数年は、毎年夏になると、世界各地で山火事が頻発するようになっている(南半球では季節が逆になるがやはり夏に火事が多い)。
超大型のハリケーンや台風、異常な集中豪雨、あるいは逆に降雨の減少による干魃、砂漠化なども、温暖化による現象ではないかと見られている。冬季のドカ雪も同様に温暖化が原因だという説もある。
肌で実感するほどの温暖化ではないが(そうなったときは人類滅亡であろうが)、人間社会に影響を与えるような現象も起こり始めているのだ。
しかし、温暖化対策の京都議定書を始め、さまざまな対策は、アメリカや中国が乗り気でないために、ほとんど効果が上がっていない。両国の言い分は、温暖化で対策を取ろうとすれば、企業活動に影響が出て、国際競争力に勝てなくなるというものだ。
もっとも、温暖化が進めば、災害が頻発して企業活動どころではなくなるのは言うまでもなく、大局的に見れば、対策を取らなければ取らないほど、経済活動に大きな影響を与えられることになる。
ところがアメリカの学者の中には、温暖化で活動しやすくなり、農産植物は増産し、むしろ経済は活発化するだろう、などという説を唱えているものすらいる。巨大低気圧やや干魃と言った負の側面を全く見ていないわけである。御用学者なのだろう。
温暖化対策を怠った国にだけ、災害が起こるようであれば、どこもくそまじめに取り組むのだろうが、実際のところは、地球全体に影響が起こる。アメリカや中国のおかげで、他の国々が犠牲になるのだ。
地球温暖化の原因は、太陽光による暖められる現象に加えて、二酸化炭素、メタンガスといった、温室効果ガスが大気中に溜まっていき、赤外線を中心に吸収していくため、熱を逃がさなくなってしまうことで起こる。
温室効果ガスには、火山から発生するもの、湿地や泥状の土地から発生するもの、牛のげっぷなどに含まれているもの、そして人間が活動するときに発生させる工業的なもの、がある。
このいずれも(牛のげっぷも含めて)、発生する量はかなりにのぼるのだが、中でも工業的に発生するガスは大きい。
だからこそ、京都議定書によって、輩出を制限する話し合いが行われてきたのだ。ロシアが批准したことでやっと発効したものの、実際にはその目標値をはるかに上回る速度で温暖化が進んでいるため、議定書にきちんと従ったとしても無理かも知れないレベルになりつつある。もっと高い制限を課す新たな国際的取り決めが必要だが、京都議定書ですら、発効に時間がかかり、未だ批准していない大国が複数あるほどだから、かなり困難と言わざるを得ない。
こんな中、偶然にも、原油高騰問題が起こっている。
原油を産出する中東、中央アジア、西アフリカ、南米北部などで戦争、紛争、テロ、政変が相次ぎ、独裁制や原理主義政府が誕生するなどして、原油供給に不安がでているところへ、投機筋が暗躍するために、値がどんどんつり上がっているのだ。
イランが核開発で強気の姿勢を崩さないのも、この原油問題があるため、埋蔵量世界第二位のイランに対し、消費国である先進各国は強く出られないとふんでいるからだ。それだけの資源があるにもかかわらず、エネルギー源としての原子力を開発しようと言うのだから、本当は兵器目的ではないかと疑われるのも無理はない。
そしてさらに皮肉なのは、原油高騰と環境問題が、原子力の復活を招いていると言うことだ。スリーマイル島やチェルノブイリの事故のあと、各国で原子力発電から撤退する動きがあったのに、再び建設への道を歩む国が出ている。
核兵器の危険性と事故の時のリスクの高い原子力が、石油問題と絡んで、脱石油への道を進ませ、環境悪化の歯止めになりかかっているというわけである。
原子力は結局のところ、電力エネルギー源として進められているわけだから、なにも原子力でなければならないというものでもない。電気に替えられるエネルギーを確保するシステムを考えればいいのだ。
先進国が脱石油のために、大きくエネルギー方針を変える政策と技術開発が出来れば、温暖化の加速を鈍らせることも可能になっていくだろうし、石油を盾にして核開発を進めるイランの立場を弱くすることで核開発をやめさせる方法も可能になるかもしれない(核の場合は逆も考えられる。すなわち脱石油社会が到来して、石油需要が落ち込む前に、核エネルギーを自国化したいと考える場合)。
いずれにしても、もはや時間はさほど無いはず。
子や孫の時代ではなく、もしかすると自分たちの生きている時代に、温暖化による大規模な破綻が発生する可能性がある。文字面で言う人類滅亡では実感が湧かないが、実際には、飢え、戦争、病気の蔓延というの現象を実際に味あわなければならなくなる。
そう考えると身近なことからやれるものをやらなければならないと思える。
節電と言ったことからはじまり、非石油製品の使用、単なる反対運動ではなく、よりよい環境エネルギー技術の推進運動を実施するなど、一般人レベルでもやれることは結構あるようだ。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル−英語)
http://www.ipcc.ch/

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