米国産牛肉の輸入が半年ぶりに解禁となる。
半年ぶり、と言うが、今年の1月、輸入禁止になったのも、年末に解禁されたばかりの輸入品に危険部位が混ざっていたからで、市場にはほとんど出回らず、実質は去年からずっと禁止のままである。
アメリカ政府の圧力と、国内の一部の解禁要求に押されて、政府は米国の対日輸出認定施設35カ所の検査を行うことを条件に解禁を決定。
検査を実施した結果、一部の施設で問題が見つかったために、それを除く、施設をOKとして、今日27日にも輸入を解禁することにしたわけである。
とはいえ、輸入された牛肉は、どれほど売れるだろうか。
焼肉店、牛丼店などは早速、輸入して販売に踏み切るものと見られ、愛好家にはすぐにでも食べに行く人もいるだろう。そしてインタビューで「大丈夫だよ、気にしてないし」とか「少々食べたくらいでは問題ないんじゃないの」とか答える様子がニュースに流れたりするのだろう。
まあ、「脳細胞スポンジになって死のうと牛肉を食べ続けてやるわ」と豪語する人はいたとしても放送されないでしょうけど。
一方で、一般的な消費者の反応は今ひとつだと思われる。
やはり危険がなくなったわけじゃないので、自身や家族に食べさせるのは控える、と言う意見も多いはず。牛肉はなにも、アメリカ産だけじゃない。オージービーフもあるし、国産和牛もある。安い方は前者を、高い方は後者を選べばいい。
いささか不可思議なのは、日本の市場において、牛肉は他のライバルがいることは分かり切っているにもかかわらず、アメリカ政府や議会、畜産業者らの団体が取った方法は、恫喝と圧力だった。
「安全ですから、ドウゾ、食べてください〜」とカウガールを連れて日本でキャンペーンでもするかと思えば、さにあらず、「俺たちの牛肉買わねえとてめえらの製品に莫大な関税とかかけるぞ、ファッキンジャップ!!」である。
おいおい、顧客にものを売る態度か、それが。
市場主義だったんじゃねえのか、アメリカは。
「おい、番頭さん、誰かに、亜米利加さんとこに行かせて、商売のイロハを教えておやり」
「へえ……」
「そりゃ無理ってもんですよ。連中、耳なんか貸しませんぜ」
「無理でも何でもやってみないことには、これ、商売にならないじゃないか」
「アラ、お前さんも時には言うねえ。ちょっとは見直したよ」
「ちょっとはねえだろ、お勝。ちょっとは」
「あれ、おまえさんったら、むきになって、おかしいねえ」
江戸人情風(?)に言ってみましたが、マジで、教えてやってくれ。
あれじゃあ、たとえ安全とわかってても買いたくないし、信頼も置けない。
いずれは、人々も慣れてきて、米国産牛肉も買うようになるでしょう。
そしてその頃になって、実はBSEに感染していた牛がもっとたくさんいたとか判明して、クロイツフェルトヤコブ病患者が次々と見つかったりして、パニックになったりするのだろうな。
……しばらく控えておこう。

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