【現代食文化の父逝く】
日清の安藤百福さんが亡くなった。ご冥福をお祈りします。
安藤氏は、台湾出身。戦前から企業経営をしていたが、施設を戦災で失った上に、戦後、信用組合の破綻に巻き込まれてすべてを失った。そうして空いた時間を即席ラーメンの開発につぎ込んで生まれたのが、チキンラーメンである。さらにカップラーメンの元祖「カップヌードル」を生み出した。即席麺もカップ麺も現在までにいろんな種類が登場し、消えるのも多いが、チキンラーメンとカップヌードルはいまもって別格である。今の多種多様なものに比べて、味が素朴なのがいいのかもしれない。時々無性に食べたくなる食品の一つである。
ラーメンの起源ははっきりしないものの、おそらく元は中国だろう。しかし、即席ラーメンは、完全に日本産の文化である。それに、「ラーメン」という言葉もまた、チキンラーメンが出始めてから一般に普及したと思われる(元々は支那ソバなどと言った)。
そしていまや、環太平洋諸国と東南アジアを中心に、世界中で食されている即席ラーメン。日清食品が協力して宇宙食にもなった。日本人の知らない外国産の各種ラーメンもあり、世界を席巻しつつある文化だ。外国でラーメンと言えば、普通、即席ラーメンのことである。
日本が誇る一つの文化だろう。
外国人、特に欧米人が食べるのを見ていると、日本人のようにズズーッ、フハフハ、と言う感じではなく、フォークでモソモソと口の中に放り込んでいるような感じだ。やはり音を鳴らすのは下品だと思うのだろうか。文化の受け入れられ方が一様ではないのがまたおもしろい。
【これも日本文化?】
秋葉原の駅前メイドカフェ・ぴなふぉあが、タイに店舗を出すことになったそうだ。
メイドの格好をして、「お帰りなさい、ご主人様」などと言って飲食物を出すメードカフェ。タイでも日本語だそうな。なぜかというと、マンガ・アニメ文化の進出によって、日本語が流行ってるから。日本人が車とかによくわからない欧米語をつけて、かっこいいと思っているのと似ている。
メードカフェは、すでに各国に進出している。アジアだけでなく、カナダなどにもある。
日本のコスプレ系のサービス業種は、性風俗産業では以前からあったが、今のメード文化は、20世紀末にゲームキャライベントあたりから発展したもので、2001年前後からアキバ系の喫茶店として出現し、あっという間に拡大。競争が激化し、サービス過剰になったり、「萌え」以外の要素も加味して独自性を出そうとしたり、メイドバブル状態である。トラブルも頻発している。
ゴスロリ調の服装をしたメイドさんをウェイトレスなどに使って、飲食業の付加価値として売り出すという形は、日本独特のようだけど、その背景は、オタク文化にある。ヲタ系は日本では未だに特殊で微妙な扱いを受けている風だが、外国では、むしろ新しい複合文化、明るいマニアものとして受け止められてきている。
特にコスプレは、外国では屋内での仮装パーティなどの表に出さない場合に限って受け入れられてきたのを、日本では原宿などで普通にやってるものだから、コスプレに惹かれる外国人にとって、これは「開放」あるいは「解放」されたように思われてるらしい(渋谷109系のオリジナルファッションも同様だろう)。それが、各国で行われているアニメやゲームコンベンションなどでコスプレが普及するようになったため、ますます、受け入れられつつある。
その土壌があっての、メードカフェであるため、こちらもうまく受け入れられていったわけである。
ところで、元々は「メイド」カフェと言ってたのを、最近メディアでは「メード」カフェと書く。どうもこれは、あるパチスロ会社が登録商標してしまったからではないかと思われる。基本的には、メードではなく、メイドの方がしっくりくる。
オタク文化も、見事にオタク経済化している。
【高速文化】
台灣高速鐵路が開通した。日本の新幹線を導入した初の高速鉄道である。
元々はヨーロッパの企業連合が受注していたのだが、起工直後に台湾大地震が発生。これを受けて、台湾政府が動き、地震探知システム「ユレダス」を搭載した日本の新幹線が逆転受注した経緯がある。そのため、鉄道そのものは日本のシステムなのに(建設は韓国だったが、手抜き工事により業界追放。韓国の建設関係にはこういう事例が多い)、チケット販売などの他の部分はヨーロッパなので、初日から多重発券などのトラブルが頻発している。
もっとも、大規模なシステムは、最初のうち、必ず不具合が発生するから、ある程度はやむを得ない。
欧米の高速鉄道より複雑で高価な日本の新幹線はなかなか普及しないが、品質はよい。車同様、受け入れられていくかもしれない。すでに中国の高速鉄道にも車両が一部導入されているし、イギリスやオーストラリアでの動きもある。他に、リニモが、中国、台湾、アメリカで検討されているという。
独自の鉄道文化もまた、日本の文化の一つと言えよう。

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