北日本を中心に大荒れの天気となっている。爆弾低気圧と呼ばれる急速に発達する台風並みの低気圧で暴風雪が吹き荒れている。各地で空港が閉鎖され、多くの便が運休。鉄道も運行中断が相次いでいる。突風で屋根が飛んだり、船が座礁するなどの事故も起こっている。
この冬は暖冬で、場所によっては雪がほとんど降っていない。スキー場も開店休業のようになっているところがある。スキー大会の延期も取りざたされる事態。この嵐でいくらか積雪も増えるだろう。しかし、このような形での気象変動は、普通ではない。
昨年晩秋から、木々が紅葉しなかったり、落葉がいつもよりずっと遅かったりする出来事が起きている。
イギリス気象庁は、4日に、今年は地球温暖化やエルニーニョ現象により、世界的に観測史上最も気温が高くなるとの見通しを示している。
これまで、温暖化による影響といえば、何十年も先に海面が何十cm上昇する、と言ったことが多かったが、最近、北極が凍らなくなる、太平洋の諸島で海水による浸食がひどくなる、などの具体的例が現れ始め、警戒するようになってきた。日本でも、昆虫の成育範囲が北東方向へと拡大しつつある。九州などでしか見られなかった蝶や蝉が関東地方にまで拡がってきている。
一見したところではわかりにくい温暖化も、自然では深刻に変化しつつあるのだ。人間の社会でも、極端な気象現象が起こりやすくなっており、特に夏の大豪雨はここ数年急にひどくなっている。
今すぐに対策をとっても、たぶん、今以上に悪化するのは間違いない。
それなのに、アメリカの石油大手エクソンモービルは、1600万ドル(約19億円)もの巨額を投じて、温暖化を否定する団体の活動資金につぎ込んでいた。そんな金があったら、温暖化防止の工業プラント研究につぎ込めばいいのに、目先の利益しか考えない典型的なバカ企業である。いかにもアメリカらしい。
やがて、少々の対策ではどうにもならないような状況がくるだろう。そのときになって、あわてて環境対策に資金を投じても手遅れだ。
今後、地球環境の悪化で、被害が相対的に大きくなるのは、温暖化防止の努力を全くしようとしないアメリカと中国であるのは間違いない。その二つが勝手に自滅するのは、自業自得と言えるが、両大国の破滅は他の地域にも影響する。アメリカに追随してせっかくの京都会議の成果も満足に上げられない日本もまた、防災のために莫大な資金をつぎ込まなければならなくなるだろう。
熱帯地方の森林を伐採しながら、その傍らで植樹をして温暖化防止の活動をしているかのような宣伝をする企業にも責任がある。それで排出権取引が成立したかのようなごまかしがまかり通っている。
目先のことしか想像が出来ず、結局、経済に直接的ダメージを得なければ事態の深刻さがわからないような人類なら、いっそのこと人口が10分の1になるくらいまで激減した方が、いい教訓となるのではないか。人類の活動が減れば、地球環境も回復するだろう。
それが問題だというのなら、いますぐ、省エネなどという表面的な対策ではなく、石油体制を完全に終了して、太陽エネルギーなどによる電気エネルギー体制に移行するしかない(それでも温暖化はすぐには止まらないだろうが)。そんなこと、SFじゃあるまいに、と笑う人も多いが、技術はすでにあるのだ。あとは市民の意識と、環境運動がどれだけ現実的なことを行えるかだろう。
外国のまねをして巨大な風車を建ててエコロジーだと満足している日本人ごときには無理かもしれないが。

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