ブッシュ米大統領。10日に、対イラク新政策を発表した。
バグダッドの治安維持に失敗したことを認め、その理由を「兵力が足りなかった」ためであり、今後「戦略を変える必要がある」として、バグダッドの治安対策などのため2万1500人規模の米軍を増派するとした(バグダッドに陸軍5個旅団1万7500人、西部アンバル県に海兵隊4000人)。併せてイラク軍、警察に訓練を行い、早ければ、11月にも権限を委譲するという計画。
また、一方で、イラク政府に対し、宗派対立を何とかしろ、と注文をつけた。
対話すべきという意見のあったイラン、シリアに対しても、「テロ支援国家」として非難、空母部隊も派遣することも想定しているという。
「イラク研究グループ(ISG)」の案も、民主党の意見も、全く無視した結果という次第。戦略を変えるといいながら、前と変わらず増派。その上、戦争を始めたのは彼自身なのに、バグダッドの治安問題を、「米国のコミットメントは、無期限・無制限ではない」、「イラク政府が約束を履行しなければ、米国民の支持を失い、イラク国民の支持も失うだろう」などと言ってイラク・マリキ政権が悪いと言わんばかりの批判を行った。
そのマリキ政権は、治安維持のために米軍増派を歓迎。
少数勢力スンニ派は、スンニ派出身だったフセイン元大統領を処刑されたにもかかわらず、シーア派民兵組織に対抗するため、マリキ政権同様、米軍増派を歓迎し、一方の多数派でもあり、フセイン処刑に積極的に関わったシーア派は、元々米国との関係が悪いため、増派に反発している。
誰が誰を支持して、どの勢力がどの味方なのか、さっぱりわからないイラク情勢、米軍が増派されても、何の解決にもならないどころか、イラク市民、米兵、ともに犠牲者が増えるだけだと思われる。
といって、今更ほったらかしで撤退したとなれば、やっぱり無責任だと非難されるばかり。結局、イラク戦争を引き起こしたツケは大きかったというのがよくわかる教材となってしまったわけだ。
もっとも、フセインが正しかった訳じゃないのだが……(そのフセインをかつて支持してきたアメリカが、歴史的ツケをずーっと支払っているという感じもする)。
さてさて、安倍政権はどうするであろうか。

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