宮崎県清武町の養鶏場で発生した鶏の大量死で、筑波にある動物衛生研究所が鳥インフルエンザH5型を検出し、鳥インフルエンザと認められた。法定伝染病であるため、家畜伝染病予防法に基づき、同養鶏場にいる残りの鶏すべてを処分することになり、防護服に身を包んだ担当者らが養鶏場に入った。
また、半径10km圏内を制限区域とし、その内側にある他の16の養鶏場など約33万羽の鶏に関しては13日から移動制限を開始した。
移動制限は、21日間続き、この間に再発生しなければ、移動が解除される。ただし、出荷直前だった地鶏などに関しては、時期を過ぎるものも出てくるかもしれない。
何より風評被害が懸念される。すでに農水省の調査で、九州地区のスーパーなど34店舗で「清武町産ではありません」などといった表示が見られ、表示をやめるよう同省は要請した。
宮崎県は、ブロイラーの産地である上に、地鶏の名産地でもあり、影響は大きいと見られる。
宮崎県知事選にも影響するだろう。
宮崎県だけではない。
過去に高病原性の鳥インフルエンザが発生した大分県はまだしも対策に備えているが、他の周辺県では、今回の鳥インフルエンザの感染ルートがどこなのかはっきりしないため、戦々恐々である。
野鳥の渡り鳥が感染源ではないか、と見られるが、発生した養鶏場では、野鳥と接触しにくい構造になっていたと言われているし、ルートは今のところ不明だ。
野鳥が感染源の懸念もあるため、各県で一斉に養鶏場への調査が行われ、異常な大量死がでていないか確認が進められている。
佐渡の佐渡トキ保護センターでは、繁殖計画中のトキの屋外観察通路を閉鎖したという。
ややパニック化しかけている様相だが、しかたない。
これでも、今回は、養鶏場も、県も、国も、比較的早く対応していると言える。
しかし、この様相を見ると、もし人間同士で感染するタイプが出現したら、それこそ大騒ぎになりそうである。
肝心なことは、正確な情報をいかに伝えるか、と言うことだが、パニック状態の中では、情報もうまく伝わらず、そのためにさらにパニック化していくという悪循環を引き起こす。
また、たとえ正確な情報を流しても、人は情報の中でより極端な情報を取捨選択しやすい。デマが飛び交うことも十分考えられる。
携帯やインターネットの普及で情報化しつつある現代社会。どこまで社会の要望に対応できるか、それを想定しているかどうか、そして人類自身がその情報化に対応できているのかが、未来に何か起こったときの人類の運命にも関わってくることだろう。

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