キューバのカストロ議長の容態が悪化しているという。
昨年の夏以降、腸の問題で手術を受け、入院した状態にあり、政治は弟ラウル・カストロを含めた集団指導体制が暫定政権として政策を行っているらしい。
スペインの有力紙の報道では、大腸のバイパス手術、摘出手術、胆嚢の手術のいずれも失敗したという。高度な技術を要する手術だったようだが、さすがにキューバの現状の技術では無理があったのだろうか。
南米では、反米左派政権が相次いで樹立し、その急先鋒はベネズエラのチャベス大統領だが、彼らはカストロ議長のファンが多い。チャベス大統領はキューバを訪れてカストロを見舞っている。
これら左派政権では企業の国有化、大統領の独裁体制、反米外交、石油の相互調達などが次々と行われ、貧困層を中心に歓迎されている。
アメリカ・ブッシュ政権の政策に対する批判が世界的に高まり、そのアメリカを含む多くの国で格差が拡大しているため、共産主義的な動きが急速に拡大している。
一方で、それら左派政権は、「21世紀の新しい社会主義の形」を標榜してはいるが、その中身は、かつて20世紀半ばに世界を席巻した共産主義制度とほとんど変わらない。経済の国家統制、そのための独裁政治、国家による情報管理、国民支配という形態である。そのため、それらの国々では、中産市民の間に批判や不安視する動きもある。だが、格差の問題から、なかなか表だって言えずにいる。また、こういう左派政権に批判的な動きがあるという報道を「親米よりだ」と批判する動きは日本ですらある。ひとえにブッシュ大統領の徳の無さのおかげと言うべきか。
しかし、こういう独裁社会主義体制は、いくら経済を統制しコントロールしようとしても、元々人の求めるものが経済を生む、と言う本質からはずれているため、いずれ思ったとおりにはいかなくなり、行き詰まって破綻してしまう。また、企業競争がないために、国家が関与しない限り、技術は発達しない。
そのため、官僚などをのぞいて貧困層は、最終的に横並びの貧困層のままで、国家体制が危機を迎える可能性の方が高い。そのときには再度、貧困層が蜂起し、政府が転覆することになるだろう。
チャベス大統領のように、品性の点ではブッシュ米大統領とどっこいな人の場合、人気が高まるのも早いが、落ちる時は結構あっけない。
かつてのように政権が何十年も長続きするとも思えない。いずれ混乱が起こるだろう。
日本も格差が拡がり、一方で政治家・企業家らの腐敗、制度の悪用がひどくなっている。日本のような風土では、武力革命というのは起きにくいものの、その反動で、織田信長や明治維新など、変革は激しい。
情報化社会だからとて、穏やかに変革が進むとは限らない。
政治家も企業家も少しは国民の目というものを考えてもらいたいものである。

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