ロイター通信によると、アメリカの2007会計年度(2006年10月〜07年9月)に支出するイラク戦争の経費が、国防総省の集計で、月平均84億ドル(約1兆円)となることが明らかになった。
イラク戦争を開始した2003年度は、月44億ドル(約5300億円)で、その2倍にふくれあがったというわけ。米政府は来月初めに、イラクとアフガニスタンでの戦闘継続のため総額1000億ドル規模の補正予算を要求する予定だが、増派計画に民主党が反対しており、予算は通さないとしている。
これだけの金がかかっているのは、兵器の値段であるという。
大まかに見て、戦車は大体5〜600万ドル、新型装甲車が150万ドル前後、戦闘爆撃機が4000万ドル強、戦闘ヘリが1000〜3000万ドル、高性能の無人偵察機は1億ドル以上……。
高い。高すぎます。これに兵士の給料や民間軍事会社要員の雇用にかかる経費などの人件費、食料や水などの生命物資、各種電子機器、航空機や艦船、トレーラーなどでの物資輸送経費、援護にあたるため中東海域への空母や原潜の派遣、衛星の運用費……、それじゃ、月84億ドルくらい行くだろう。
まあ、単純に金・金、と批判する気はないけれど、月84億ドルを、科学技術や、経済政策への補助金や、社会福祉や、フォーナインの金(AU)の購入などに使えば、アメリカは戦争するよりずっと強国になっているでしょうに。
勢いが付いた生物コロニーは、やがてバランスを崩して自滅の道を歩むという意味では、イラク戦争でアメリカの国力が減退すると言うことが社会学的現象であっても、人間が自然の法則に従っている生き物だという証拠なのかもしれませんね。
お隣の中国は、人工衛星を弾道ミサイルで破壊する実験に成功したという。民間ロケット発射にも使われる四川省西昌から打ち上げられたミサイルで、中古の自国衛星を破壊したらしい。日米は宇宙の平和利用に反していると批判。昨年も中国が衛星をレーザー等の照射で機能ダウンさせる実験をさせているという情報が流れたが、今度は物理破壊。運動エネルギー撃破飛翔体というらしい。
兵士や兵器が電子化されて高度にリンクしながら、相互連携して戦闘機能するようになっていく時代。軌道上から情報を収集し、それを兵器や兵士に伝え、兵器や兵士同士の連携を中継する軍事衛星は必須の存在。当然、敵の軍事衛星は戦争における最大の脅威のひとつ。これを破壊する技術を確保しておくのは、今世紀の戦争に勝つ要件の一つであろう。
しかし、これをやっちゃうと、軌道上に破片が散乱し、いわゆるスペースデブリとなって、自国の衛星も破壊し、人類の宇宙活動の大きな障害となる。といって大気圏に落として消滅させるのもいろいろ問題ある。
軌道上をも舞台にする戦争そのものの是非は置いとくとしても、どうせ破壊するなら、完全消滅するくらいの技術を使わないと、いずれ自分の首を絞めることになる。差詰め、超光学兵器の利用ということになると思われるが、弾道ミサイル防衛計画にも検討されてるフッ化重水素レーザーなどだろうか。もっとも今の技術では軌道上まで届いて熱破壊できるようなレベルのものはないけど。

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