1月7日にフジテレビ系列の『発掘!あるある大事典2』で納豆のダイエット効果を放送したが、この内容が捏造だったと判明し、制作した関西テレビが謝罪した。
捏造したとされるのは、
・被験者がやせたことを示すところに別人の写真を使用した。
・アメリカの大学教授の発言の翻訳台詞を勝手に作った。
・被験者の一部の中性脂肪値を測定しなかったのに、正常になったと放送。
・納豆を朝2パック食べた場合と、朝晩1パックずつ食べた場合の比較で、被験者の血中イソフラボン濃度の結果を捏造。
・被験者の血中のDHEA量検査のデータを捏造し、許可を得ずにグラフを引用した。
放送後に、急激な納豆ブームが起こり、商品が品薄になると言う騒ぎが起こった。ちょうど、不二家の問題もあり、食品に関する人々の注目が集まっていたところなので、この問題は大きなニュースになっている。
原因について、会見でも出ていたのが、思ったような結果が出ないために、捏造に走ったということ。これは科学者にもよくある。
しかし、最初から、「ダイエット効果がある」という答えを想定して番組を作ろうとしたというのであれば(十分あり得る話だが)、情報番組としての意味はない。
この問題の背景には、巨大な市場を持つ健康ブームがあると思われる。直接、健康食品業界からの金が動いたというわけではないにせよ、ダイエットと銘打てば、視聴率が上がり、スポンサーを取りやすくなり、スポンサー対象が食品メーカーへと拡がる。だからこそ、あらかじめ、「結論」が出ていなければならなかったのだろう。
この番組を見て、急に納豆を食べ始めた人々は、おそらく、この発覚によって、納豆を食べなくなる。そんな程度の健康観である。
番組の内容が捏造だったからと言って、納豆自体に問題があるわけではない。元々納豆には様々な健康効果があるのは、これまでの多くの研究でわかっている。それがわかっている人は、最初から食べているし、好きな人は変わらず食べ続けるだろう。苦手な人は食べない。それだけのことだ。
そもそも現在の人間(ホモサピエンス)の20万年の歴史は、飢餓とともにあった。飢餓が多くの人にとって普通でなくなったのはほんのここ5、60年のことである。
そのため、人間の機能には、飢餓に備えてエネルギーを蓄えるシステムがある。それが、脂肪をため込んで太る原因だ。人間だけでなく動物の大半はこの機能を持っている。食料が当たり前になったからこそ、余分なものがどんどんたまるようになったのだ。
飢餓の方がいい、と言うわけではない。豊かになれたのは、無数の人々の努力の結果であって、それを否定することは出来ないし、努力することが人間らしさでもある。
ただ、肥満が健康に良くないのは事実で、バイオテクノロジーで、人間を肥満に耐えうる体にしたり、肥満しないように改造するというわけにはいかないのだから、ダイエットするしかない。
ダイエットは、基本的に、摂取カロリーに対し、相応の消費を行うようきちんと運動をするしかない。筋肉が増えれば、エネルギーの消費率も高まる。だから運動ですぐにやせなくても、持続して続ければ、やがて効果が高まってスリムになっていく。
仕事などでなかなか運動できない人がいるのは仕方ないが、今のダイエットブームの問題は、苦労せずにダイエットだけしようと言う考えにあるだろう。
そもそも、そこからしてすでに間違っているのだ。
だから、こんな捏造問題にも発展する。
食べるだけでやせるという情報には、何か問題があると考えた方がいい。

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