金属類の盗難。
盗まれるものは、店舗のアルミサッシ、公園の車止めポール、火の見櫓の半鐘、工場や倉庫の鉄板・銅板・銅線、高圧電線、住宅の門、工事現場の足場、鉄道の信号回線、津波防潮堤の鍵、側溝の蓋まで様々……
個人で盗んで捕まるものもいるが、中には工場の数トンにものぼる金属板や、実際に使われている高圧電線など、一人じゃ到底不可能なものまで盗まれているところから、集団で盗んでいる例もあると見られる。
また、盗む理由は、金属の高騰にあるから、当然売るのが目的だ。
つまり盗んだものを、金属業者に持ち込んで金に換え、業者はそれを中国などに転売しているのである。ということは、そこで抑えられれば、盗難は減ることになるはず。
業者の中には、盗品と知っていて売買しているところもあるだろうし、盗品かどうかわからないようなもの(金属廃材など)は、知らないで引き取っているところもあるだろう。
しかし、実際のところ、業者で抑えられるのなら、もっとも効率が良いだろうが、なかなかそうもいかないのが実情。業界団体も苦労しているという。
また、当然、暴力団などが介在する例もあると思われる。
これらの盗難を抑えるもっともよい方法(?)は、需要が無くなることだ。
たとえば、中国経済が破綻すれば、需要が無くなり、盗んで売って稼いでいた連中も干上がってしまう。
ただ、これらの事件の背景には、貧富の格差などで生活に困る大勢の人がいると思われるから、中国経済の破綻は、根本的な解決にはならないかも知れない。
となると、金属を盗んで売るよりも、少ないリスクでお金を稼げる何かが必要になってくる。
たとえば……、
リサイクル技術を発展させ、本当のゴミから原料と一次加工品を生み出せるようにして、全国の産業廃棄物処分場を「リサイクル鉱山」に変えることで、それに連なる加工産業市場の人材需要を高めるとか、
木材をそのまま加工するだけではなく、舗装材やプラスチック代用品、合板補強材などの大量に使うもの、ナノマテリアルのような新しい分野の原料にすることで、国内山林の間伐事業を盛んにして、多くの人を雇うといった方法もあるかも。山の地味安定は環境治水対策になるし、伐採後に多様な広葉樹、落葉樹を植えれば、餌不足による獣害対策にもなる。
言うほどに、実際は簡単ではない。
けれど、新しい産業の創出こそが、ありとあらゆる犯罪を減らす最大の要因では無かろうか。

0