今日、霞ヶ関で、全省庁合同による学生への就職説明会が行われた。
キャリア官僚を目指す人(一種試験志願者)が過去最低の水準に減っているため、人材を確保する必要が出てきたからだ。
最近は、官僚養成大学「東京大学」でも、民間企業に行く人が増え、あるいは起業家になるものが多くなっている。
省庁は、公務員削減を求められているため、表向きは頑固に現状を維持しているように見えても、内部では、組織の解体、人員の削減への動きが強くなっている。
一方で、段階的組織構造は変わらないから、能力さえあればすぐに出世できる民間と違い、下積みに始まり、異動と出向で経験を稼ぎ、その中でやっと頭角を現し、局長クラスになる頃には、もういい年になっている。しかも、それはほんの一部の人だけだ。
ちょうど人生を楽しんでいる大学生などから見れば、官僚などは何ともつまんない人生に見えるだろう。
しかも、いまや、国家のために働く、などという感覚は国民の中にはない。自由が浸透してしまっている上に、国家に魅力がないからだ。
むしろ、能力を如何なく発揮できるような環境は、国際競争激しい民間の方が遙かに強く、そしておもしろい。東大生のような自分の才能に自信を持つ人ほど、民間に魅力を感じることだろう。
しかし省庁としては、人員削減になる以上は、少数精鋭、優秀な人材を確保しておきたいのである。
そもそも、日本の省庁は、その仕事の内容に比して、人の数が多すぎるし、無駄な組織が多い。民間ではあり得ないほどの組織構造である。そう言う無駄な組織ほど、削減への抵抗が激しいという。
一種試験によって決まるキャリアだけではない。
これまでは、試験をクリアし、高学歴を持つキャリアと、学歴のないノンキャリアに別れていたが、最近は、大学生が増え、一種試験こそ通ってないものの、学歴は高い中間キャリア層が出来ている。
そういう位置にいる人材が、重要になってきている。そこで、これまで、民間からの中途採用枠をほとんど認めてこなかった省庁も、30代枠や、フリーター枠などを始めた。大抵は大卒だし、社会経験が豊富だからである。今のところは、政府主導による再チャレンジ政策の宣伝的な部分が強いから、数も少ないし、省庁側も真剣には取り合わないかも知れないが、それでも、20代後半くらいの新卒ではない人材を、経験を優遇して採用するようになっているのは事実である。
これからは、内外の政治・軍事・環境などで大きな変化が続くことは必至だ。安定した就職先としての省庁ではなく、本当に国家を動かしていく人材が重要になるのは間違いない。省庁の外からやってくる革命のような状況になりつつあるわけだ。

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