クラスター爆弾の禁止を巡って話し合われる特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)政府専門家会合で、日本は条約制定に積極的に関わる動きを見せている。
といっても、日本は、クラスター爆弾の使用禁止については、賛成派ではない。賛成ではないのに、なぜ条約制定に関わろうとするかというと、全面禁止という方向に行かないよう、使用制限の方向に進めるために、積極的なのだ。
クラスター爆弾は、空中で親爆弾から小さな子爆弾が放出され、広い範囲に着弾するもの。もちろん、爆弾だから、着弾した時点で爆発する。広範囲の敵を一斉に攻撃するためのものだ。
ところが、この子爆弾、不発も多い。5〜20%もあるらしい。
そのため、あとで、現場に来た子供なんかが、思わず拾って爆発して死傷するという危険がある。
それが非人道的、と言う理由だ。
日本では、敵が上陸してくる場合に、海岸に地雷を埋め、さらに空中からクラスター爆弾を投下して迎撃するために使う。日本が全面禁止に反対なのはこのためだ。
もっとも、敵が上陸して来るという段階に至ること自体が問題であり、たとえ撃退しても、自分たちも傷つくことになる。海岸が使えなくなる、と言う意味は、日本にとって、経済や生活環境に大きな影響を及ぼす。
防衛力という意味で見れば、戦術的なことよりも、もっと総合的な視野で考えた方がよく、兵器を「敵兵を殺す道具」として考えるなら、他の兵器も検討の余地があり、クラスター爆弾にどれほどの必要性があるか疑問もある。
一方、非人道兵器という定義も変と言えば変な話だ。
そもそも、兵器は人を殺すものであって、それ自体非人道的。それを、特定の兵器に限って、非人道的という風に取り上げることが多い。
大体は、無差別で、コントロールが効きにくく、後々にまで影響を及ぼす、というのが非人道的兵器の特徴だろうか。得体の知れなさ、というのもある。影響の大きさの比率によって、禁止の度合いも変わってくるのだろう。
たとえば、核兵器などは、兵器としても別格だが、非人道的扱いでも別格だ。それは破壊力があまりにも大きいこと、放射線などの不気味さを伴う現象によって後々にまで被害を残すことなどがある。
そのため、同じ戦争被害でも、原爆だけは特別扱いされている。当然とも言えるが、本来、殺されることになにかの「違い」はない。死ぬと言うことでは同じなのだ。少なくとも、その違いによって、機銃掃射で死んだり、焼夷弾で焼け死ぬことが、原爆より劣る、と言うものではない。
とはいえ、可能なところから、削減し、禁止するように動いていくこと自体は、悪いことではない。
あとは、戦争そのものを避けるための、努力を忘れないことだろうか。
動物としてみれば、戦争は人間同士の縄張り争い。どこまで自分たちの生物としての業と立ち向かえるか、それが一番難しいだろう。

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