小学館のヤングサンデーが休刊になると言う話が出ている。
まだ決定事項ではないそうだが、経営戦略の一つとして、休刊も選択肢にあるという。
結構人気作品も連載されているので、意外な気もするが、いまや出版界は大変な状況のようだ。
出版社の枠を超えて共同でマンガ雑誌を出す企画が出たり、無料マンガ雑誌が一年で休刊となったり。
マンガだけでなく、他の書籍も同様。
小説を売る出版者も相次いで倒産している。特に自費出版関係は、書籍を売って儲けるのではなく、作者が出版のために出す「制作費」で稼いでいたから、先行きもない。うまいこと言って金を出させることばかりやっていたわけである。
自費出版以外でも、倒産は相次いでいる。もともと一発当たればでかいが、多くの小説は儲けにならない業界。そのため、大衆文学では、当たりそうな作品でアニメ化やフィギュア化などで稼ごうとする。一方、純文学は、そのジャンルとは裏腹に、人間関係の破綻だの、乱れた性だの、きわどいネタで注目を得ようという状況だから、いずれも似たり寄ったりの作品ばかりになる。
91年もの歴史を持つ婦人雑誌の草分け「主婦の友」も廃刊が決まった。
ある大学の準教授が、主婦の友が廃刊になる理由として、女性の社会進出に伴って、時代のニーズについて行けなくなったのだ、と説明していた。
しかし、実際は、それはあまり理由ではないだろう。
本当の廃刊の理由、すなわち売り上げの低迷の理由は、ネット化である。
主婦の友だけでなく、あらゆる出版にとって脅威となっている。
コンピュータ関係誌ですら廃刊に追い込まれるほどだ。
書籍だけでなく、新聞も大きな影響を受けている。
新聞を読む人は9割以上いる、と強気な発言を繰り返す新聞社だが、その裏では、新聞社同士で共同のウェブサイトを開設するなど、あからさまにネットへのシフトを図ろうとしている。
さらに言えば、テレビ局すら危機的状況だという。
企業が、これまでは著作権問題で批判していた人気動画サイトにCMを載せるようになったり、スポンサーとして活動するようになったため、テレビ局のスポンサー集めがうまく行かなくなっているらしい。人気番組ですら、スポンサーを選ぶような状況ではなくなり、そのために番組作りに影響が出ている。下請けに丸投げしたり、似たような番組作りになったりしている。
同じ司会者、お馬鹿芸能人、お笑い芸人、グルメ、頭脳系や検定ものなどばかりになってしまった。
いずれの業界も、ネットの特徴である情報の豊かさ、更新速度、投稿や検索などの双方向性、低コストなどに市場を奪われているわけである。
もちろん、斜陽とは言っても、出版もテレビもいろいろ挑戦している。新しい雑誌は毎月のように創刊している。番組だって実験的なものもある。
ただ、どうやってもネットとのコラボは避けられない。すでにネット上の動画から写真集へ発展するようなやり方は行われている。いまは動画人気に当て込んでいるが、これをもっと出版社やテレビ局が企画段階から主導的にやれるかどうかだろう。そう言う番組すら深夜帯では試作されているところだ。そう言う中で、安易な番組、紙面を作っているところは淘汰されるのは間違いない。メディア関係者の能力が試されているのだ。
ネットの携帯性、利便性が進めば、ますます大きな影響を受けるだろう。ネット側も新たなコンテンツが次々と出てくるに違いない。
今後の既存メディアの展開が非常に興味ある。

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