6月1日から、ガソリンがさらに値上げ。
新日本石油が11円程度、ジャパンエナジーが13円程度、出光興産が14.5円、エクソンモービルが10円程度卸し値を値上げすることにあわせて、ガソリンスタンドでも10円以上上がると見られる。
そのため、レギュラー1リットル170円前後に達すると思われる。
値上げ前最後の日の今日は、前回の暫定税率復活時同様、ガソリンスタンドに大勢の人が殺到した。
もはや暫定税率が廃止され続けていたとしても、それ以前の額より高くなっている。
石油はあらゆる産業に関わっているため、深刻な問題として拡がっている。
石油から作られる様々な製品、化学溶剤、プラスチックやビニールなどのメーカーや職業、冷暖房で石油を使う職業、輸送トラックや流通業界、漁船、航空会社、タクシーなどのガソリンを使う業務。
企業が経営不振に陥ってしまったら、経済全体への影響が大きい。直接のガソリン代上昇だけでは済まなくなるだろう。
値上がりは、石油だけではない。
食品も各種値上げが確実な状況。すでに多くの商品が値上がりしているか、あるいは量を減らして売っている。
深刻なのは、乳製品。もともと需要が減り生産が落ち込んでいた直後だけに、一気に品不足に突入した。つい2年くらい前までは、余った大量の牛乳を捨てて処分していたのが、今や政府が供給を維持するように圧力をかける事態になっている。酪農家にしてみれば、腹立たしいことこの上ないだろう。
いまやスーパーに行っても、バターは全くない。ケーキ屋さんなどが業務用バターを手に入れられないため、スーパーのものまで買っているそうだ。お菓子屋さんも生産量を減らして対応している。残っている牛乳やヨーグルトも値上がりが進んでいる。影響は重大だ。
また非常に目立つものとしては、スパゲティとパン類。値段を変えない代わりにあからさまに量が減っている。カップ麺などは逆に値上がりしている。量を減らすわけに行かないからだろう。さらに上がるという話だ。
というのも、小麦の最大供給地であるオーストラリアが深刻な干魃に襲われて、収穫が激減しているためだ。場所にもよるが収穫量はこれまでの2〜4割程度と見られている。凶作と言っていい。
そのため、小麦に変わって、にわかに米が注目され始めた。
国内でほぼ唯一今も供給が100%近い米だが、消費量は年々低下していた。数年前、一度だけ大凶作になり、海外から緊急輸入したことがあったが、それ以外は作高もまずまずで、海外にでも売らなければやっていけない状態になっている。しかもその海外で日本向けに日本米を作り始めているのだから、市場はだぶついていた。政府が緊急用に備蓄米として大量に購入しているが、一つには災害に備えての意味もあるが、もうひとつ、農家を守るための政策でもある。
ところが、小麦の激減によって主食がパンからごはんへと戻り始めた。
また、米粉から作るパンも登場している。
このため、一気に米の需要が高まり、値上がりが始まるのではないか、と言う懸念がすでに出始めている。
日本は輸入大国である上に、農産物は気候変動に弱い。温暖化が科学者の予想よりも相当に速く進んでいるため、生産可能地帯の移動も人間のサイクルに追いつかなくなる恐れがある。西日本では米の味が落ち始めており、北海道での生産高は高まる一方だ。美米の産地である新潟でも気温上昇により米の生産量は落ちると考えられているため、農業試験場などが新しい米の開発に取り組んでいる。
食料品の値上げは国民の実生活に直結する。
給食費が払えない家庭の欠食児童という言葉が終戦直後以来復活しつつあるほど、問題は大きいのだが、政府はこれについての明確な対策が示されていない。
それどころか、自民党も民主党も増税案一色になりつつある。一部の議員は、まず財政支出を削減することが先だと言っているが、少数意見だ。
彼らは社会福祉にお金がかかることを理由にしているが、削減の案は出さない。
増税は基本的に消費税である。消費税率が欧米に比べて低いことを政治家は増税の理由の一つに上げている。
しかし欧米の消費税は累進課税で、食料品などは低く抑えられているのが一般的だが、日本の場合は一律であるから、所得の低い人ほど税負担が重くなる逆進課税だ。
その点は全く無視して、増税論が進んでいる。収入の多い政治家や官僚は損はしない。物価高騰と増税という二大負担は、歴史的に見ても悪政の時代にしかない。
政治家や官僚にとって、国家財政は、エクセルシート上の数値でしかない。実生活に密着していないのだから、国民の頭数で割るような税論議しか出てこない。人頭税のようなものだ。
また少子高齢化で社会負担が重くなるのなら、本来少子化対策をもっと進めるべきだが、最近は、もはや子供は生まれないもの、高齢化は当然のこと、として対策を行うかのような論議になっている。
ここまで来ると正直、生物としての人類が、すでになにか衰退し始めているのではないか、とすら疑ってしまう。
ミャンマーの被災地の悲惨な状況は、決して他人事じゃない。
国民あっての国家だと言うことがわかってないような政治家は、さっさと引退し、国外へ去って貰いたいところである。

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