オバマ大統領は、金融関係企業の経営者のボーナスが、推計総額184億ドル(約1兆6600億円)に達したとの報道をうけて、「恥ずべきことだ。支援を求めているウォール街の人々には、抑制や自戒、責任といった感覚を少しはみせてほしい」と非難した。国民の税金による公的資金で再建を図っているにもかかわらず、莫大なボーナスを取る行為を無恥だと言っているわけである。
もともとオバマ大統領は、こういう動きにかねてから批判しており、昨年の11月には「人員削減に取り組まざるを得ないのなら、せめて自らも犠牲を払うことを言明すべきだ。それが責任だ」と言っている。
メディアが行ったアンケートでは、経営者だけでなく、ウォール街で働く人々の大半が、ボーナスの金額に不満を持っているという結果も出ていて、ネット上では批判の嵐となっているという。
自由主義を標榜し、自己責任の資本主義経済を容認してきたアメリカでも、こういう面は恥ずべき事だと思うようだ。まあ、当然だろうけど。
それに対し、本来、恥というものを重んじ、自律を旨とすべきだという道徳が根付いていたはずの日本は、すっかりダメになった。
その代表が、経団連の御手洗会長だろう。自分の会社キヤノンでは大勢の人間のクビを切りながら、自分の責任は一切取ろうとせず、自分でアップした給与は2億以上という男である。不景気対策も、雇用対策も、全く案がない。明治以来の日本近代経済界で、ほぼ最低の人間である。
まさに、「人員削減に取り組まざるを得ないのなら、せめて自らも犠牲を払うことを言明すべきだ。それが責任だ」というオバマの言葉は、平然とクビを切って、しかも自身の責任には言及しない日本の経営陣に突きつけるべきではないか。これが侍の時代なら、切腹だ。比喩ではなく、本当に自殺しなければならない事態である。グローバル金融不況だの、リーマンショックだの、他人の責任にして、どうしようもなかった、と言い訳するような経営陣は、所詮、先の見通しが無く、イケイケドンドンでやって失敗した、無能な経営者だったと言うことだ。失業する人間から見れば、不況だから、というのは理由にはならない。
組合も同罪。こんな時に、ボーナス上げろ、と言う感覚が理解不能である。失業者増やして組合員のボーナス上げたくらいで、消費経済が良くなると思っているのだろうか。単なる自分たちの給与アップのための理由付けに過ぎない。
それは政治家にも言えること。
今の国会議員の大半は、与党も野党も関係なく、バブル崩壊以来ずっと議席を持ち続けている。この間、いくらでも、政策を立てられたはず。環境技術だって、2003年頃までは技術力もシェアも世界トップクラスだった。その当時、さらに国家が支援し、制度を整えておけば、いまごろ、ドイツやアメリカ、中国などに抜かれずに、景気を支えていた可能性だってある。オバマ政権の環境政策に便乗できたかも知れない。他にも、いくらもそう言う例はある。しかし、政治家も官僚も、何もしてこなかったことの反省も、危機感も全くないまま、国会議事堂の中でくだらない争いを続けている。忸怩たるものは全くないのだろう。
いまだに「日本は今回の不況の影響が最も小さい」などと言っている連中はうじゃうじゃいるが、おそらく先進各国ではもっとも被害甚大となるだろう。失業率は一気に6〜7%に達すると思われる。消費が落ち込めば、企業もダメージがデカイ。
それでも自民党政権は、2011年になったら、景気が回復したという理屈を付けて、消費税も上げるのだろう。民主党は具体案もなく、ただ騒ぐだけ。
民間企業は、まだしも努力しているところは多いが、政界はまったくない。もっともひどい集団だ。こんな時に、こんな連中しかいないのか、と思いたくもなる。

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