北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射予定期間が迫る中、海上自衛隊のイージス艦3隻が相次いで出港した。
2隻は日本海に配備され、弾道コースの下で、もしミサイル本体が落下してきた場合、SM3で迎撃する。1隻は太平洋側に出て、弾道飛行のデータを収集して今後に備える。
陸上自衛隊もコース真下の秋田、岩手両県と首都圏にPAC3搭載車両を配備する。
弾道ミサイルは、最大高度1000kmに達するため、基本的には迎撃できない。また、予定設計通りに機能すれば、日本本土に落ちてくる可能性はない。問題はこれまでの発射で失敗しているように、途中で落っこちてくる場合だ。この場合は、SM3が高度100km程度で、PAC3が数十km程度で迎撃する。迎撃が成功すれば破片は大気の摩擦でほぼ燃えつきると言われている。
しかし当たらなかったら、燃えつきなかった部分が地上に激突する可能性もあるし、飛行高度が足りなかったら、低い弾道コースを通って東北地方へ落下する可能性もある。対応時間は飛行高度にもよるが、数分から十数分程度となる。
迎撃ミサイルの命中精度は必ずしも高くないので、その辺りが難しいが、ほとんど無理だという政府高官の発言もおかしい。場合によるだろう。
それに今回、発射が成功すれば、皮肉にも貴重な情報収集と訓練が出来るのである。失敗しても、国内に被害が出なければ、国際情勢のリスクの高さに対するいい教訓になるのではないか。
今回のミサイルは、北朝鮮は衛星を軌道に乗せるためとしている。基本的にはその通りだろう。金正日の健康問題と後継者問題もあるため、大きなイベントを展開するつもりだろうから。
ただ言うまでもなく、長距離弾道ミサイルの実験であり、示威行動でもある。軍事独裁国家が、他国のほとんどと関係悪化している中で、輸出産業にミサイル技術がある以上は、これが実験であるのは当然のことだ。
また、本来、他国の領土上空を一方的に飛行させるロケットの発射はない。暗黙の了解的なものだが、敵対国同士でも、それは避けるのが普通だ。やむを得ない場合は事前に通告し、外交努力をする。過去にはオーロラ観測用の科学ロケット発射ですら、核攻撃と誤認されたこともある。
北朝鮮の場合、周辺を囲まれてる上に、ロケットも弾道ミサイルも、通常自転に合わせて東側へ発射するのが基本なので、もっとも敵対している日本上空を通すのがもっとも都合がよいのだろうが、日本と交渉もしないままに行うのはたとえ国連決議が無くともルール違反だ。反発を買うのは当たり前で、北朝鮮が偉そうに日米を批判することではないし、まして迎撃されたら報復する、などの発言は、ミサイル発射ですと言わんばかりだ。かなり準戦時状態になってきている。
それにしても、この段階でもまだ、迎撃態勢に批判的な連中がいるのが驚き。
技術的批判ならまだしも、社民党の福島瑞穂のように、「迎撃したら破片が落ちてくる」「本当に衛星だったらどうする」など、かなり見当違いな発言をして政府の対応を批判している。むしろ北朝鮮シンパな言動が多い(朝鮮労働党ともっとも仲の良かったのが前身の日本社会党だから、その伝統があるのかも知れないが)。
もしなにもせずに地上に落下して人的被害でも出たら、福島瑞穂はその責任を取れるのだろうか。そのときは、なぜ迎撃しなかった、と言い出すだろう。
この人は、小沢一郎の西松建設問題でも、「説明責任は果たした」と明言するなど(民主党政権で大臣ポストでも狙ってるのだろうが)、もはや国民とは遠く彼方に乖離した非現実的で無能な政治家だ。こういうのに税金使うのかと思うと情けなくなる。
少なくとも、党利党略のために国民に犠牲を強いる政党は必要ない。NGOや反戦団体も同様だ。
もしミサイル防衛に反対するのなら、今すぐ北朝鮮へ行って、ミサイル発射を止めてこい。それが彼らの為すべき事だろう。戦争を止めるには相応の努力が必要で、それは防衛戦力を確保することも、外交交渉することも、それぞれの国で国民運動を起こすことも、方法の一つだが、少なくとも野党や反戦団体は何もしていない。口ばかりだ。

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