エジプト政府は、新型インフルエンザの流行をうけて、なぜか、国内で飼育されている豚全部(推定20〜30万頭)を殺処分とすることを決定した。
FAO(国連食糧農業機関)は、今回のインフルエンザはブタではなく人の病気であるとして、間違った対策だと見直しを求めている。食糧問題があるからだろう。
実際、豚を全て殺したところで、なんの意味もない。人経由で流行するだけのことだ。
もっとも、エジプトはイスラム教国。
イスラム教は、豚を忌み嫌っており、それが理由なのではないのか。これ幸いと豚を殺しましょう、と言う発想とも考えられる。エジプト政府は、衛生上の理由であって、宗教的理由ではない、としているが。
今のところ、弱毒性なので、大したことにはなってないが、これで強毒化した日には、
「エジプトでは、豚を全部殺した上に、人も全部死んじゃいました」
ってシャレにもならない。
豚インフルエンザという言い方自体がおかしいので、こんな事になる。日本でもだいぶ緊迫化してきたものの、当初は、「豚インフルエンザって(笑)」という雰囲気ありあり、「豚インフルエンザで死んだら浮かばれねえ」などとネットに書き込みがある始末だった。
ちなみに、イスラム教から目の敵にされているユダヤ教でも豚は不浄の生き物。
よってイスラエルでは「豚インフルエンザ」とは呼ばず「メキシコインフルエンザ」と呼んでいるらしい。
ユダヤ教もイスラム教も豚に関しては同じ、と言うのも面白い。もともと同祖アブラハムの宗教であり、荒野の宗教であった。
つまり、飼育に膨大な餌を必要とし、贅沢な食べ物であり、ちょっと特殊な臭みのある美味がたまらない人も多く、太っているところが醜く思われがちな豚は、自然の豊かでない中東では、もともと禁忌だったのだろう。
逆に自然の豊かな中国では、豚はもっとも好まれる食材である。
豚もいろいろ大変だ。

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