米国の科学アカデミーは、NEOと呼ばれる地球接近天体についての報告で、1909年にシベリアのツングースカで起こった大爆発が、直径30〜50m程度の小天体だった可能性を指摘し、その程度の隕石で起こる災害は、300年に一度程度の割合で起こる可能性を指摘した。
この種の災害を避けうるために、避難することは前提として、地球から離れている場合はロケットなどで押して軌道をそらす方法、ロケットで重量物を衝突させる方法、かなり接近している場合や直径が1kmを超えるような場合は核爆弾で爆破する方法を示した。
スペースガード計画で世界中の天文台が小惑星や彗星、スペースデブリ、その他の天体を観測している。
数百m級なら発見もしやすいだろうが、30mくらいになると、なかなか見つからない場合もある。近くを通りすぎてから、接近していたことに気づいた例もある。間に合わない可能性もあるだろう。通常弾頭のミサイルなどを多数撃ち込むとかして破壊することは出来るかも知れないが、超高速で大気圏に突入すると、かなり厳しいのでは。都市部に落下しないことを祈るしかない。
逆にやっかいなのは、巨大な天体。
早くから接近に気づくことは出来るが、軌道をそらしたり、破壊したりするのが大変だ。
過去の例から考えても、直径10kmもあれば、地球のどこに衝突しようと、人類は壊滅的な打撃を受ける。直接的な災害、気象変動、食糧不足、そしてそれに伴う社会の崩壊が、さらに争いなどを引き起こして生き残った人々を追い詰めていく。
10kmでは、これまでの技術から、接近中に探査機を降ろして調査することは可能だが、それによって軌道をそらすような活動は難しい。核兵器を使うのがもっとも可能性がある。そのエネルギーで軌道をそらすことは可能だろうが、しかし、破壊できるかどうかはわからない。
人間がこれまでに作った最大の水爆は、旧ソ連のツァーリ・ボンバで、出力50MTに達する。理論上は、原材料さえ調えられれば、もっと巨大な出力を出せる水爆は作れるが、重すぎてロケットで運ぶことは出来ない。
これが数百km級ともなると、破壊も、軌道変更も困難だろう。相当早くに接近がわかっても、どう対応できるかどうか。映画ではドリルで小惑星の奥深くに核爆弾を埋め込んで起爆し、大きく分裂させて軌道をそらす、というアイデアが出てくるが、実際はかなり厳しいと思われる。
かなり早い段階で多数の核兵器を同時に爆破して軌道をずらす、といった事になるのではないか。それでも、核兵器の使用に反対する環境団体などが騒ぎを起こすのは十分あり得る。衝突は間違いだ、といった理由を立てて。
このクラスともなると、地球衝突に伴う災害は、もうどうにもならない。おそらく地殻やマントル上層部まで破壊されるだろうし、そのエネルギーで地表は超高温と化して、地上の生物はほぼ絶滅。地中奥深くや深海の生物は生き残るかも知れないが、生態系の破壊は連動して、それらの生物も滅びるかも知れない。
破壊や軌道をずらすことが出来ない場合、早期に地球脱出をはかるという手段だけが残される。当面、月を中継点にして、火星へ移住することになるのではないか。
だが、危機感に伴う技術革新がない限り、火星移住も失敗に終わり、最後は無残に滅ぶかも知れない。火星の表面の小規模のコンテナ基地や、宇宙空間のロケットの中で、最期を向かえる、ということにもなる。
巨大隕石の衝突など、リアリティのない話だが、地球の歴史上には当たり前に起こった出来事であるから、いまのうちに、最悪、月や火星でも生きていくくらいの技術は確立しておいた方が良いと思う。

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