多摩ニュータウンの最初の団地である諏訪2丁目住宅640戸の建て替えが決まった。
住宅難を解消するために大規模造成を行った同団地は、40年近く経って老朽化が進み、また構造上も不便なことが多いから、一括で建て替えるという。
コンクリートで出来た集合住宅は、歴史的には大正時代にまでさかのぼる。その頃のものはもう残ってないが、昭和初期のものは、最近まで同潤会などの建物があちこちに残っていた。都心や下町に多く作られ、いまも一部残っていると思われる。表参道にあった青山アパートなどは保存運動が起こるほど地域のシンボル化していた。その頃のアパートの多くは、今のアパートとは異なり、今で言う高層マンションのようなもので、大型で、豪華な設備が揃っていたり、女子専用もあった。多くは震災による住宅難対策や、スラム化解消のために計画され、建設されている。
戦後昭和20年代、30年代の団地も、若干残っている。これらが現在も残るニュータウン、団地の元祖のようなもので、間取りは小さく、ベランダやエレベータが無かったりするが、利便性の高い主要路線の駅近くに建設されることが多かった。やがて郊外の丘陵などを大規模に造成した巨大団地が登場する。
それらも4〜50年たち、住民も高齢化し、耐震問題も出てきたりしている。
とはいえ、解体・再建するには、かなり費用がかかる。高齢化した住民には負担が大きい。そのため、対策が取れないところも多い。
再建案としては、高層化して建てる棟を減らし、空き戸数分を分譲したり賃貸にすることで費用を不動産会社にも負担させるなどの方法を採るのではないか。住民の平均年齢を下げ、活性化する効果もある。
まださほど古くない建物もあるが、空き戸数も多く、無駄になっていることもある。経済不況で住むところを失っている人も増加しているが、住宅がないと再就職は困難になる。そう言った人たちのために自治体が補助金を出して安くで入居出来るようにした方がいい。
一方、こういった建物は文化財とはみなされないため、老朽化すると保存されることは全くない。
いずれ、立て替えが進めば、昭和時代の集合住宅というのは残らないだろう。写真や一部の映像だけでしか見られない存在となる。歴史が消えるのは少し物寂しい。
今綺麗で立派な超高層マンションなども、50年、70年と経てば、老朽化が目立つようになるのだろうか。建材は丈夫になって長持ちするようになっているが、傷みや汚れなどは必ず起こる。半世紀も経れば、途中で大きな地震に遭遇する確率も高い。超高層であるがゆえに、補修しにくい状況も起こり、立て替えも困難になるかも知れない。
そう考えると、購入するときには先のことも考えていろいろ調べる必要があるわけだ。

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