日銀の緊急対策もたった一日すら効果が無く、むしろアメリカの景気後退を懸念して、円高が再加速。株価も大幅に安値を更新している。
円高と言うことは、円に安心感があるから起こるわけで、この不景気では変な感じもするが、相対的な問題で、ドルとユーロの価値が欧米の経済状況の悪化・金融危機で、変動が激しくなっているからだろう。日本政府は巨大な債務を抱えているが、その多くが海外ではなく国内に向けられているため、奇妙に安定しているのだ。
一方で株価は悪い。
円高では、輸出中心の日本産業界は、ダメージが大きい。円高の影響を避けるため海外に拠点を移すと産業全体が空洞化しかねない。
輸入企業や、海外企業の買収・投資を行っている企業にとっては円高はありがたい話だが、それらの企業は国内の景気や市場にはほとんど良い効果がない。
その上、政権与党が醜い内輪もめを展開し、ほとんど対策を取れないでいる状況では、日本経済に対する不審感も大きい。
民主党は何であそこまでなにも対策を示すことが出来ないのか、さっぱり不明だが、なにも思いつかないのか、自分たちの権力のことしか頭にないか、どっちにしても日本を任せる資格は全くない。衆議院も解散し、国民に信を問い直すべき。本来なら選挙ばかりあるのはよいことではないが、むしろ現状は与党が政権能力を失いつつあるので、選挙をして政権交代した方が、株価などを押し上げるのではないか?
民主党やそれを支持するジャーナリストは日本の経済を支えてきた科学技術に対して非常に冷淡でもあり、本来なら積極的に投資すべき所を削減していくばかり。「はやぶさ」など国民の人気が高いプロジェクトは、慌てて予算を増額するが、それ以外はメタメタだ。産油国、中国、韓国などは、膨大な投資をして科学技術の研究を進めている。差は開くばかりで、将来、日本はただの三流国になってしまいかねない。
家電エコポイントは来年3月まで延長される見込みだが、これは残っている経済危機対応の予備費が予算として充てられるからのようで、予算が底を着きかけているエコカー補助金は前倒しで打ち切りの予想。
景気対策も部分的な効果に終わり、むしろ失業対策や格差問題は悪化するばかり。
国民の収入が減り、国内市場が冷え込めば、企業の業績にも影響するのだが、経団連などはむしろ逆になりかねない、海外展開や低賃金移民政策などばかりを主張している。
貧困が原因となっている悲惨な事件も増加傾向にある。
こういう状況になればなるほど、国民の不満は増加し、やがて近隣諸国への警戒感と結びついて、軍国主義の台頭へとつながっていく。
景気対策はもう手がないのだろうか。なにをやっても無駄な雰囲気が漂ってきている。
しかし方法はあるのではないか。
常に正しい方法はないが、逆に言えば、非常時には非常のやり方、と言うのもある。
特定産業や分野への傾斜投資や公共事業等を思い切ってやってもいいのでは。いつでも通用する方法ではないが、こまごまと逐次投入で景気対策をしても、砂に水が染み込むように、なにも残さず金だけが失われてしまう。
もちろん公共の投資では、無駄は排除すべきだが、それは「そこにお金を使わなくても問題はない」と言う意味での無駄であり、事業の目的そのものではない。民主党のやるような事業仕分けのようなものでは必要なものまで失われてしまいかねない。
投資するとしたら、次のようなものが重要ではないか。
バイオテクノロジー、環境技術、iPS研究、防災技術などこれから先、確実に需要の高まる技術、
野菜工場などの食糧生産、
スカイツリーにはじまる超々高層建築、軌道エレベーター、メガフロート等の巨大建造物やリニア新幹線など実用と共に人々が見学に集まったり利用したりする大規模事業、
国産旅客機、国産有人ロケットなどの国民がワクワクするような重工業分野、
超大型客船、超大型飛行船、飛行艇、民需用潜水艦などこれまであまり注目されなかった観光用乗り物開発、
映画、マンガ、アニメ、ゲーム、アイドル、ファッションなどのサブカル系産業および映画撮影地の支援、
コンピュータのソフトウェア、ネット産業、
ロボット、サイバニクス、サイボーグなどの人体工学技術、
メタンハイドレード、大規模太陽光発電、核融合などの巨大な新エネルギー技術、
古い寺社や遺跡、戦前建築・炭鉱跡・軍事施設跡・戦跡・廃線鉄道などの近代文化財、それに付随する建築技術や、発掘品・古文書・仏像などの保護技術、
こういった日本が得意とし、まだ技術が残っているような分野に投資しておけば、将来に輸出や観光などによって利益も返ってくることになる。なにより、社会に新たな動きを生み出すことが重要だ。
財源が厳しいので、全部が全部とは行かないだろうが、いま投資しておくと将来有利になりやすい分野を中心に据えていくのもいい。
また、サブカルなどは、国が推進しても政治家や官僚の発案では100%上手く行かない。金を出すことよりも、むしろ法制度等でアーチスト・デザイナー・制作者達のやりやすい環境を整えることの方が大事だ。
新幹線や国産旅客機、ロケットなどは海外輸出を政府・政治家が支援することも必要。お金を出さないのならば、外交交渉するなどはやるべき。
議会制民主主義の国政では、なかなか進まない事業も、大統領制である地方自治体ならば、推進しやすい場合もある。規制を緩和し、財源を移動し、地方レベルでの産業開発、資源開発、科学技術への投資などを国が地方へ委任するのもいいかもしれない。
いろんな方法が考えられるので、国民がネットなどでおおいに議論し合って、知識や感心が拡がるのもいいだろう。

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