菅直人首相が、松本内閣参与との間の会談で、「避難指示の地域には当面住めないだろう。10年住めないか20年住めないか」と指摘し、その住民を移住させる都市計画について持論を展開したと、松本内閣参与から出てきた。
これが与野党だけでなく被災地の間で波紋を呼んでいる。
首相はこの発言を否定し、松本内閣参与は「自分が言った」と訂正した。
が、誰も信じていない。
内容が具体的な上に、都市計画のネタはそれまでにも菅首相が発言しており、しかも内閣参与が「自分が言った」ように訂正する事自体、無理がある。
おそらく菅首相は同様のことを言ったのだろう。
首相には、震災後の言動を見ると、どうも深刻な事態を実感していないような所があり、またイメージを考えているのかにやけた表情で被災地を訪れるなど、最高責任者たる様子が見えない。
地方選挙で負けるのは当然だろう。
そもそも、放射性物質汚染の問題の解決を問わずに、移住の話をすること自体が論外だ。
放射性物質の問題は、核分裂によって生じた放射性同位体物質(ヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90など)からベータ線やガンマ線などの各種放射線が出ており、それが細胞の遺伝子を破壊することで、組織に障害が出て、病気になったり生命に関わる問題になる、と言うことだ。
放射性物質は状態が不安定なため、放射線をどんどん出しながら崩壊していき、やがて安定した別の物質に変わる。変わる量が半分になる時間が半減期で、その後もどんどん放射線の量は減っていく。ただ、それは物質によって時間が異なる。
ということは、放射性物質を取りだし、減っていく時間分保管しておけば、それ以外の場所は清浄化できる。
もちろん、実際には非常に困難が伴うのだが、理屈はそう言うことだ。
実際、方法がないわけではない。
多孔質の素材で放射性物質を吸着する実験では、かなり効果が上がっている。水であれば、汚染レベルを大幅に下げることは可能だ。
一方土壌の場合、汚染は表土の薄い部分に限られているため、表面を除去し、洗浄し、戻すことは出来る。超膨大な放射性物質を放出した大気圏内核実験時代の調査から、土壌から農作物への汚染は短期間であることもわかっている。
10年とか20年などと言うのは、「現状」であれば、あり得ない話で、長くても2年程度で問題はほぼ無くなるはず。
菅首相は、自分の復興都市計画などを自慢したくて、原発問題をネタにぶち上げたのだろう。彼に事態を解決しようなどと言うまともな思考はないと見ていい。これは自分の主張のために津波災害を天罰などと言って、その打ち消しのためにコンビニや自販機を悪玉にすりかえた石原慎太郎と同レベルだ。彼らは、自分の優秀さをアピールするため、リクツを披露して見せただけで、被災地を真剣に考える思考はない。そんな石原が再選された事自体痛恨の極みだ。
いま避難区域になっている状況を改善する最も重要な方法は、全く進展していない福島第一原子力発電所のトラブルを解決すること。冷却機能を回復し、冷温状態にし、核燃料を囲い、汚染された施設を洗浄することだ。そうすれば、新たな汚染は止まり、汚染の問題は時間の問題となり、解決する。
放射線が邪魔して作業が遅々として進まない。
アメリカの企業が、放射線防護服を提供するという。ロボットも各国から送られてきている。
これらが日本になかったことが驚きでもあり、残念でもあるが、これらを素直に受取り、速急に作業を進める環境を整えることが、菅首相ら政治家のすべき責任であって、くだらない持論を安全な官邸内で披露しているような暇はない。
その能力がないなら、能力のある人物に替えた方が、被災地復興も早くなるのではないのか。

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