ノルウェーで爆弾テロと大勢の若者を射殺したアンネシュ・ブレイビク容疑者。前代未聞の大量殺人を行った。
思想的な背景がありそうだが、中東などで日々起こっている非道な爆弾テロを除けば、これほど凶悪なのも珍しい。
彼は精神鑑定を受けているが、仮に罪が認められたとしても、ノルウェーの法律では、最高刑は懲役21年までしかない。
その刑期数で計算すると、今回の事件、一人あたりの刑期数はたったの82日にしかならないという。殺人以前に傷害や強盗などよりも軽くなってしまいかねない。
さすがにこれはどうかという意見がかなりあるらしい。
ヨーロッパでは、犯罪者を重罰に処すことに、何か、非文明的だという考えが浸透していて、死刑を認めない傾向にある。また、国家がいかなる理由であれ、人を殺すのは問題だ、という理屈も広まっている。
このあたりは、犯罪被害者に同情的な日本の一般的な感覚とはかなりズレがあるが、人間の感情で、欧米と日本でそれほど大きな違いがあるわけでもない。
第三者的に刑罰を軽くすることが文明的だという理屈は日本でも唱える人々は大勢いるが、逆に欧米でも犯罪被害者が、犯人の厳罰化を主張する例はある。
凶悪な事件に遭遇し、被害に合えば、相応に苦痛や怒りを生み出すこともあるわけで、凶悪な犯罪被害にあった弁護士が、それまでの持論を捨てて、犯人の厳罰化を主張した例だってある。
今回のような事件が起これば、厳罰を制度として復活させようという意見も出るだろう。
死刑などの厳罰、重罰が文明的でないという考えは、なぜか加害者への処理方法だけが突出して論じられている感じがする。それは本当に文明的なのだろうか。
加害者の人権よりも前に、まず被害者や遺族の人権、事件が起きた背景を調査して未然に防げるような社会を作ること、冤罪やいい加減な捜査をなくすこと、などが先で、その上であらためて加害者の厳罰の是非が論じられるべきだと思う。

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