天皇陛下の心臓バイパス手術が終了。
手術は成功し、すでに意識を回復し、集中治療室へ移られた。
心臓そのものに酸素を送る冠動脈3本のうち、左回旋枝と左前下行枝がやや狭くなっているため、2本の内胸動脈からそれぞれバイパス血管(グラフト)をつないで血流を送る。
冠動脈に異常が出やすくなる高齢者に多い手術で、以前は人工心臓を一時的に取り付けて、心臓を止めた状態で行なっていましたが、最近は心臓を動かした状態で行うようになっている。
比較的多い手術で、比較的に難しくはないとされている。およそ4時間かかったが、手術自体はうまくいっていたようだ。特に輸血も必要なかったという。なお、将来の不整脈による血栓防止のため、左心耳と呼ばれる少し飛び出た場所を縫う、追加手術も行われたという。
医師団は、術後の様子を見て、「成功」かどうかを判断するとしている。傷の回復、感染症、誤嚥性肺炎などの問題をクリアする必要があるからだ。
集中治療室からは3〜4日、退院への判断は2週間後くらいにするという。医術の発達で、患者への負担もすくなってきている。
現時点でこの手術を行ったのは、心臓に問題が起こってからや、より高齢になってからの手術に比べて、リスクの少ない今のうちに、という事だったのだろう。逆に言うと、緊急性がない時点での、失敗すると命に関わる比較的大きな手術をすることについては、迷いもあったのではないか。
しかしこの時点での手術(左心耳も含め)について、陛下は手術に同意された。これは陛下にかぎらず、全ての人に認められた権利でもあるが、その判断の根拠として、医者の説明も重要だ。
今日は、皇后陛下と長女の黒田清子さんが病院に付き添われた。
東京大学医学部と順天堂大学の特別チームの5人の医者によって行われた。
手術担当者はベテランとはいえ、やはり天皇陛下の生命に関わる手術になるわけだから、相当なプレッシャーはあっただろう。失敗すれば、同様の手術への批判が出て、他の人への治療にも影響が出てしまう。一方で、成功すれば達成感もあるだろうし、経歴にも箔がつく、ということだ。
こういう手術の経験によって、より一般的にもしやすくなるともっと良いといえる。
一方では、どうしてもリスクは伴うので、いずれiPS細胞の移植技術が発達すれば、こういう組織のトラブルは、大規模な手術を必要としなくなるかもしれない。
なお、退院まで、皇居で記帳を受け付けており、今日は1万1500人以上が訪れた。

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