野田政権が自民党と手を組んで消費税増税法案を通そうと躍起になっているなか、反対を主張している小沢派などの数は50名以上になると見られ、小沢一郎は離党と新党結成も匂わせるようになった。過去にも、何度も政略の結果で新党を作ってきただけに、今度も十分ありそうな話。
こと消費税となると、これまでにも国民の反発を買って、何度も政権が倒壊しただけに、政権奪取に野望を抱く小沢一郎としては、反対を貫くのがチャンス、と思っているのかもしれない。
もっとも、その割には、マスメディアの世論調査での小沢支持はいまいちだ。マスメディアの調査には今ひとつ信頼感が持てないものの、小沢不人気というのは当たっていると思う。裁判沙汰になった4億円の使途不明金の件でも、無罪になったとはいえ、国民の大半は、限りなく黒に近い灰色の目で見ている。それが消費税反対、と唱えても、野心のために言っているのだろう、という感は拭えないのは事実だ。
一方、自民党などは、これをうまく利用して民主党の分裂を図り、かつ、増税の責任は民主党に押し付けて、近い将来の与党復帰を睨んでいるのかもしれない。一旦増税してしまえば、減税することは難しく、また、国民の批判や反発も増税する前に比べて勢いが弱くなるから、野田政権がやってくれれば都合がいい。
しかし、国民はそんな自民党にも不信感があるのか、これまた世論調査での自民党の支持率は、民主党とさして変わらない。過半は民主も自民も支持しておらず、どちらかと言うと、政治そのものにうんざりして愛想を尽かしている感じ。
世襲議員だらけの与野党が、選挙による国民の信を問わず、議会内での調整で、一致して一方向に進み、国民が政治への関心もなく、責任も感じず、投票にも行かないのは、民主主義としては異常な状況で、日本はどうも、アメリカのような共和制には向いていないのか、と思ってしまう。
ところで、小沢一郎に妙な「問題」が出ている。
妻がマスコミに小沢一郎が大震災の直後に、放射能を恐れて逃げ出した、という書簡を暴露したのだ。小沢一郎の秘書が、小沢一郎の指示で、妻子に「放射能漏れ」の情報を得たので、逃げるようにと伝えに来たため、奥さんが「国民を捨てて逃げるのか」と怒り、一旦は逃げなかったものの、水道は危ないから使うな、等と言い、とうとう逃げ出した挙句、風評被害に苦しむ地域から送られてきた農産物も捨てた、という内容のもの。
小沢一郎事務所は否定しているが、あの大震災では、彼の地元の岩手も甚大な被害を受けたにもかかわらず、今に至るまで、小沢一郎が地元のためになにかした、という話を聞かないため(本来なら、政治家としてこれほど宣伝になるネタにもかかわらず)、逃げ出したという話は、妙なリアリティがある。
事実がどこまで本当かは夫婦にしかわからないが、全くのでっち上げと言うにしては、逆に唐突すぎるし、詳細なので、誰のどういう状況かはともかく、小沢一郎の周辺で、なにか似たような話はあったのかもしれない。
また、この時期に、消費税増税を進める野田首相ではなく、反対している方の小沢一郎の話が出てくるところが、マスコミにとって、国民もきっとそんなことを言いそうな人物と思うだろう、と考えている証拠である(ちなみに鳩山元首相にもそんなイメージがある)。
事実だとしたら、国民を見捨てて自己保身に走った人物として、政治家としては論外ということになる。ただ、報道している新聞が思っているほどには、人々の反発も弱い。マスコミの意図を感じ取っているからだろう。小沢一郎を信じはしないが、マスコミも信頼出来ない、というところか。

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