竹島問題で日韓関係は非常に悪化している。
日本では国会で竹島と尖閣問題で非難決議が出され、経済活動、芸能活動にも大きく影響し始めている。
なかには、もっと冷静に対応すべき、と訳知り顔でいう人もいるが、日本はこれまでずっと譲歩し、あることないことすべて謝罪までしてきたにもかかわらず、すべて韓国が引き起こした問題であり、それを言うなら、韓国に言ってくれ、というところ。
韓国では意固地なまでに反日を唱えて異常な状況になっている。
日本大使館の前で愛国を示すために指を切ったり、火をかぶったりというおかしな行動をする市民が出たりしているが、異常さは、日本市場で金儲けしている芸能関係者にまで及ぶ。会見でいちいち、竹島(向こうで言う独島)はどこの領土か、などと踏み絵質問が行われ、ちょっとでも詰まると非国民扱い。マスコミが率先して、偏向報道、愛国運動に暴走状態。
もう、戦前の日本以上の全体主義への道まっしぐらな感じ。
おそらく韓国人の中にも、この状況に寒気を覚えている人もいるだろう。
実のところ、これは韓国の危機的な不安感の裏返しかもしれない。
韓国経済は、少数の大企業によって支えられ、貿易依存度が非常に高い。製品の部品は日本から輸入しているものも多いという。欧米との間で、経済協定で自国の農産品を犠牲にしてまで、輸出有利に進めてきた韓国だけに、日韓貿易への悪影響は、韓国の貿易全体にも波及しかねない。
そして芸能を始め、韓国国内市場の十数倍はある日本市場をアテにしている産業も多い。
今回の関係悪化で、日本企業や芸能関係などでも韓国を避ける動きが出始めている。
日韓経済関係の悪化は、日本にも影響があるが、影響の度合いでは韓国のほうがダメージが大きい。通貨スワップ協定も、事実上、日本がウォンを支えるという内容であるため、協定破棄の動きは韓国にのみ都合が悪い。
さらに韓国は、これといった強硬な同盟国がない。
日本は、領土問題でロシア、韓国(北朝鮮も)、中国(台湾も)と紛争を抱えているが、民主党政権になってギクシャクしたとはいえ、日米同盟があり、アメリカは最近、日本に譲歩し、民主党も野田政権になって同盟関係は持ち直してきている。また尖閣諸島の問題がある台湾とは、領土については棚上げ状態でさほど仲は悪くない。中国も「いまのところは」日本との関係破綻を避けたがっているし、ロシアも北方領土問題で強硬な一方で、日本に経済関係強化のアピールをしている。
経済的に安定していない日本ではあるものの、韓国との関係悪化で受ける影響はさほどではない。実際、腹を立てても、日本国内ではどこか余裕がある。
一方の韓国は対日政策のために中国に擦り寄ろうとしているが、黄海での中国との領土・領海問題は、日本以上に激しく対立しているし、高句麗を始めとする歴史問題も抱えている。中国では韓国嫌いが日本同様激しい。韓国にとっては、中国は必ずしも、頼りになる存在とはいえない。
米韓軍事同盟も、対北朝鮮では一致しているが、米国がやや日本びいきなところもあって、韓国では米国不信も強い。韓国にとっては、どこを向いても味方が乏しい状態にある。さらに、韓国人は欧米でもあまり評判がよろしくない。
そして北朝鮮の金正恩政権とは非常に関係が悪い。
孤立感が強いわけだ。
それが内向きに愛国的な高まりを見せている理由の一つとなっているのだろうが、味方の少なさと、国家の規模から見れば、これは戦前の日本以上といえる。
韓国政府内部に危機感が強いのか、日本に対し、特に天皇陛下への非難について、悪意はない、などといった言い訳めいたことも言っているが、ひとたび強硬姿勢を打った以上、国内世論を来にして、しばらくは後に引けないだろう。
今後しばらくのあいだ、韓国の置かれた状況は厳しくなっていく一方ではないか。

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