選挙もあと一日となってきているが、大勢はほぼできた感じ。あとは微妙な変化があるくらいか。
今回の選挙戦、当初は、綺麗事を並べ立てるだけの候補が大半だった。
いわゆる、
「脱原発、反消費増税、反TPP」
だ。
だが、国民が望んでいるのは、そういう具体性のないお題目ではなく、実際のお金の問題。
経済が活性化し、失業の危険性が減り、給与が上がり、育児や介護がしやすくなり……という問題。
TPPの参加不参加でどうなるのかもはっきりすれば、支持はどちらかになるだろう。現時点では、参加しても、農業のダメージの割りには、経済活性化につながらないのでは、という考えが主流なので、反対のほうが強いだろうが、だからといって、現状、経済が良くなる要素もない。TPPよりも、円高、国際競争力や物価に関わる何かの方策の方を国民は期待しているはず。関係国が求めるから、とお人好しな責任感で参加を考えるのでは馬鹿らしいし、関税の方法はTPPだけではない。
消費税も、増税しての直接的な負担の大きさと、収入に反比例して損をしている感覚があるから、納得していない人が多いが、財政逼迫で社会保障関係の費用負担が重くなるのも困る。
増税の負担をしても、それが他の部分(医療費、教育費、介護費など)での支出を減らせるのであれば、増税にも賛成する人が増えるだろう。露骨に言えば、病院の診療はタダ、授業料もタダで小学校から大学まで行ける、となれば、増税に賛成する人は多いはず。ただし相当の増税になるだろうが……。
原発問題も尻すぼみになってきたが、これは電力費用の問題が大きいからだ。
各家庭での負担ももちろんだが、企業で働いている、特に工場で働く人には、電力の問題は目の前の問題。概念論的に反対反対と言われても、今でもギリギリに抑えている生産がさらに落ちて競争力を失い倒産でもしたら、原発の危険性がどうとか言っているどころじゃなくなる。
福島原発の事故は人為的ミスの要素が大きく、他の原発すべてが今すぐ爆発するという認識は殆どの人はない。
全原発停止でもやっていけてるじゃないか、と主張する人もいるが、その人たちは、企業がかなりキツキツで厳しい状況にあることを理解していない。電力会社の経営も逼迫している。自業自得だとしても、じゃあ、電力会社が潰れればいいのか、という話は別問題。その負担を利用者が大幅な電気料金の増額でまかなうのはしっくりこない。
原発は使わないに越したことはないが、当面は安全性を徹底して、再稼働やむなし、というのが国民の大方の考えていることだろう。ただそれを言い出しづらい雰囲気にあるだけだ。もちろん、福島原発の被災地では話は異なるが、それは原発問題が他の全てを上回る生活へのダメージにあるからで、彼らの場合は、まず住むところ、そして除染、地域経済の活性化、雇用ということになる。
政党もそれがわかってきたから、最初は反原発、脱原発と言っていたのを、やや方向転換して、原発停止を目標に自然エネルギーを、などと言い出している。もっとも自然エネルギーは、地熱のようなかなり発電量の大きなものは別にして、太陽光も風力も原発に比べるとかなり小さい。日本列島及び周辺海域にはメタンがかなり埋蔵されているから、今は国が費用を投じてでも、採掘のめどを付け、火力発電に持っていくしか無い。その具体的な予算と工程をはっきりさせるくらいの政策案を挙げないと、脱原発にはなんのリアリティもない。
政党や政治家が考えるほど、国民は単純馬鹿ではない。
むしろ日常生活が身につまされているから、政治家よりも物事をよく見て、よく考えている。
取り返しの付かない失政の数々を重ねた民主党も、表面的なお題目で支持を得られるだろうと安直に考えた第三極も、この段階で支持率が低いのは当たり前。
あと一日でにわかに政策を具体化するなんて不可能だが……。

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