北朝鮮は、ここのところ、やたらと激烈な批判を韓国やアメリカに対して行なってきている。
ソウルを火の海に、などという陳腐な表現は昔からやってるけど、最近は核兵器までネタに持ち出してきて、アメリカとそれに追随する日本や韓国まで核攻撃するぞと脅迫の言辞を繰り返すようになった。
各国とも、いわゆる北朝鮮の瀬戸際外交、という見方は変えていない。
脅すだけ脅したあと、妥協する様子をチラッと見せて、食糧支援などを引き出そうという、独立国家としては大恥な、非常にみっともない「タカリ政策」である。昔からこれを繰り返している。情けない国である。
これには、「敵」を用意しないと国内のまとまりがつかない韓国側の事情もある。北朝鮮の挑発を批判しながら、ほどほどの所で、食糧支援だの、ケソン工業団地だの、クムガンサン観光だのを持ち出し、適度の緊張関係を維持しておくわけだ。
ところが、今回はやや思惑が異なりつつある。
北朝鮮の挑発は、だいたい一定期間やってハイ、交渉しましょうか、というところだが、今回はなかなかやめない。その上にまだ、中距離弾道ミサイルを発射する可能性も示唆している。
さらなる支援を引き出すつもりでいるのか、
韓国に対してより優位に立とうとしているつもりなのか、
アメリカと直接交渉をしたいのか、
中国が最近、北朝鮮に冷淡になってきているので、とにかく、アメリカを引きこんで、何かしらの言質を引き出したいのが、大きな理由の一つだろう。
国内の、それも比較的高い階級層に、予想以上に不満が高まっているのを敏感に察し、金正恩が自らの威厳を見せつけようという、内的要因でこういうことをしているのかもしれない。
韓国経済への揺さぶり、という考えもできる。実際、朝鮮半島の緊張の高まりで、韓国企業の株価はここのところ軒並み下落傾向だ。
それでも、多くの人は、これが戦争になるとは思っていない。
問題があるとすれば、金正恩の経験の無さや、若いゆえの無思慮、判断ミスなどで、収拾がつかなくなっていく危険性だ。
瀬戸際外交が、単なる瀬戸際になってしまう。
ただ、戦争になった場合、韓国のダメージは甚大だが、北朝鮮は滅亡するしか無い。最終的にアメリカには勝てっこないからだ。
早ければ一週間くらいでキム王朝は崩壊するかもしれない。むしろその後に、長期的に混乱が生じたり、中国が軍事介入して韓国と対立するほうが大きな問題になるだろう。

0