脳外倉庫

名古屋大大学院環境学研究科の気象学の専門家である中塚武教授が、新しい考古学年代測定法を発表した。
これは、セルロースに含まれる酸素同位体の量を調べるというもの。
教授によれば、酸素同位体は、降雨量によって変化し、その変化の度合いは、北海道を除く日本全域でほぼ同じだという。
そこで、樹木の遺物を２０００年分調査し、その変動幅を１年毎に調べていき、そのデータベースを作ることで、遺跡から見つかる５０年ほどの年輪から、変動量の変化を調べてデータと比較すれば、どの時代のものかが１年単位でわかるという仕組みらしい。
炭素１４測定法や、年輪年代法と比べて誤差が少なく、ほぼ１００％わかるという。
木材を他の出土品とあわせて調べれば、いつの時代のものかが判り、土器など出土品の時代による変化も正確にわかるようになる。そうなれば、出土品同士の比較をすることで、木材が出土していない遺跡の年代も推定しやすくなるわけで、なかなかの発見といえる。

ところで、歴史学の中では、考古学は科学的な要素の強い分野で、また明治大正期の当初から、異分野の専門家が考古学をやってきた例が幾つもある。そのせいもあってか、文献史学と考古学はあまり交流がない。古代以外にも、中世から近代に至るまで、考古学は幅広くやっているが、一部の重大事件などを除いて、文献史料との対比は行われていない。文献史学の方にも古文書の読解など、特殊な技能が必要な分野があり、お互い相手の専門が苦手なのもあるだろうが、歴史学の王道を行く風の文献史学側のプライドの高さと器量の狭さも大きく影響しているだろう。
皮肉にも両者が密接にくっついているのが、邪馬台国だ。しかし母体である「三国志」の一伝一節にも満たない「魏志倭人伝」の文章は、内容的に見ても、文献史学としてはかなり信憑性・信頼性に問題があるにもかかわらず、すんなりとその記述に従って、考古学の成果と照らしあわせているところがある。やはり、時代的に固有性・具体性に乏しく、曖昧模糊としている中で、卑弥呼という、そこだけ極端に具体的な話が出てくるところに、客観性を旨とすべき学者さんも惹かれてしまうのだろう。

アフリカ開発会議が横浜で開かれ、５１カ国が参加。３９カ国は首脳級が出席した。日本への期待が大きいことがわかる。
安倍首相は、今後５年間で政府開発援助の１・４兆円を含めた最大３・２兆円の官民支援を実施すると表明、日本への留学支援を始め、産業人材３万人、保健人材１２万人、資源分野１千人、農業技術指導１千人、観光分野７００人、通関関連３００人の人材育成、２千万人の子供の教育環境提供などの「安倍イニシアチブ」を発表した。

日本は、アフリカとは、距離が遠く、地政学的重要性が低く、旧宗主国でもないため、限定的な進出しかして来なかった。
近年、資源を狙って中国が本格的に進出し、日本では出遅れたとの批判も強い。
ただ、中国のアフリカ進出には、当のアフリカから批判が高まっている。
中国のやり方は、首脳級の政治家や有力部族長らに金を渡し、政府関係施設や公共事業のインフラ支援を行い、その見返りに資源開発の独占的な権利を得る方式だが、民間産業の発展には一切支援せず、技術も提供せず、資源開発に伴う地元住民への配慮、環境保護対策も一切しない。業務は全て中国人が独占し、その中国人のために中国系企業が進出し、地元の産業を圧迫する始末で、地元政府は徳をするが、国民は一切恩恵を被らないどころか、むしろ被害を受けるような状態。住民が抗議すると中国は政府側の弾圧を支援し、ひどいのになると、武装した中国人が地元住民を攻撃するような事態も起こっている。

さすがに国民の離反が懸念される状況になりかねないと、アフリカ諸国の首脳らも、中国との関係を見直す向きも出てきている。今回の参加首脳の中にもそのような発言が見られたし、外国のメディアで露骨に中国を批判する首脳もいる。

一方、中国と異なり、日本企業は技術を現地に移転して現地スタッフのレベルを高める方針をとることが多い。その方針は、中国や韓国では感謝どころか見事に裏切られたが、東南アジアでは技術移転は日本との友好発展に寄与し、日本への評価を大いに高めた。また、顧客へのサービスを重んじる傾向が強く、世界中で評価を受けているし、日本人は勤勉との評価も高い。地元民との関係を深めるイベントもよくやる。それらの方針は、イスラム教徒の多い国でも評価を受けやすい。アルジェリアのテロ事件では日本人も巻き添えを食ったため、そこだけを見て日本企業の進出を批判する識者とかネットユーザーもいるが、実際には襲撃犯は現地の人間ではない上、貧困を利用したテログループだ。また現地スタッフによって助けられた日本人も複数いる。犠牲者をいたわる声は現地でも強い。それだけ信頼を得ていた証だろう。

アフリカ諸国が期待するのは、中国のようにイナゴの如く殺到して奪っていく連中ではなく、アフリカの発展を助けてくれる国。
日本は、それを主眼において、市民の生活が良くなる方向での活動を強化し、その結果、日本製品の信頼感を勝ち取ればいい。市民が日本を支援すれば、各国政府も日本びいきにならざるをえない。
すでに、現地の経済レベルを考慮して中古車修理を車メーカーが行うことで信頼をえたり、調味料を小分けにしてシェアを伸ばしている食料品メーカーもある。マラリア感染を減らすために蚊帳を生産するといった日本独自のやり方も評価を得ている。
中国に大きくシェアを奪われているという識者も多いが、中国のもつシェアは金をちらつかせ、権力を利用した上からの押し付けでしかなく、アフリカ人の信頼を勝ち得たものではない。日本にはまだいくらでもチャンスがある。
このことは、他の地域でも同様だ。韓国もそうだが、中国は特に排他的に利益を独占する傾向が強いため、進出先の国々で嫌われている。
中韓ばかりに気を使って、世界を無視してきた民主党のやり方は排除し、世界中の市民を味方に付けて、中韓とは堂々と対峙すればいい。

小惑星「１９９８ＱＥ２」が５月３１日、地球の近傍を通過した。直径２．７ｋｍと比較的大きな小惑星で（といっても宇宙の天体から比較すればミニサイズだけど）、ご丁寧に６１０ｍほどの衛星を引き連れている。このクラスの星でも衛星がいるのかと、そっちも驚きだが、うまい具合にそのわずかな重力圏に捕まっちゃったのだろう。
地球近傍といっても、５８０万ｋｍもあるが、宇宙の広さや天体同士の距離感から言えば、たしかに近傍だし、ちょっとなにかあれば、何かじゃ済まない方向へ進路を変えてきてもおかしくない距離でもある。
ただ、さすがにこれだけ離れていると地球への影響は低いので、特に大々的に発表もされず、さりげなく、通過して行った。

それでも、２．７ｋｍが落っこちてきたら、まず、人類の何割かは、おそらく８〜９割はオシマイではなかろうか。途中で砕けたり、落ちる場所にもよるだろうが。
また、これほどの大きさになると、事前に発見することは可能だが、同時に、地球へ向けてピンポイントクラッシュだとわかっても、どうしようもない。核ミサイルを何発か、端っこの方にでも打ち込んで回転を与え、進路を変えるとかだろうか。距離があれば、時間をかけて、映画みたいに上陸してどうにかするようなことも出来そうだけども、いずれにしても難しい話ではある。

最近の風潮からか、ネットじゃ、中国や朝鮮に落ちればいいのに、などという書き込みも見られるが、連中にむかついているからといって、あれもこれも節操なく中朝韓に絡めて言うのも情けないし、それらの国にいる程度の低いレベルの連中と同じ事を日本人が言う必要もない。
そもそも、あれだけのものが中国や朝鮮半島に落ちたら、日本もモロ影響を受ける。かんべんしてもらいたい。

６５００万年前にユカタン半島に落ちたチクシュルーブ隕石は、最大で１５ｋｍくらいの小惑星だったようだが、地球全域に影響を及ぼした。恐竜の絶滅のきっかけになったともいう。すぐに絶滅したわけでもないし、鳥類に進化したのもいるから、これは定義の問題だろうが、環境は大激変したわけだ。

ファーストガンダムの一年戦争では、その初頭に、ジオン軍がサイド２の８バンチコロニー「アイランド・イフィッシュ」を地球上へ落とし、連邦軍の本拠地ジャブローを破壊しようとして、３つに壊れたコロニーがシドニーと太平洋と北米に落着して大被害を与えたという話がある。作品によっては「ハッテ」の首都バンチだったり、落ちた場所が違ったり、微妙に設定が違うものの、これで地球では２０億とも４０億とも、あるいは半数とも言われる人が犠牲になったという。
ガンダムのコロニーの多くは、いわゆる「島３号型」なので、原型モデルで言えば主要部は直径６ｋｍ、長さ３０ｋｍの大きさになる。中は大半が空洞とはいえ、その質量は膨大だ。ガンダムではその後、地上での戦いが多く展開されるが、そこそこ繁栄しているエリアも出てくるし、連邦軍も何とか体制を立て直している。これほどの大災害でも、よくまあ、これで済んだものだ、と言えるかも。３つに砕けたからかもしれないが。

天体は勝手に飛んできて、うまく行けば去っていくだけなので、偶然の要素が大きいから、地球激突ともなれば、人類、ここまで来て運が尽きたか、という諦めもあるかもしれないが（努力はすべきだろうが）、人間が引き起こす愚行は、止めることもできるのに、やってしまうことがある。被害者からは、１００％納得出来ないだろう。質量兵器は、小惑星やコロニーほどデカくなくても、宇宙ステーションでも地上に被害を及ぼすことはあるだろう。そのクラスなら、遠くない将来、兵器として利用される危険性は十分ある。