NHKの朝の情報番組で、バカッターと言われる、いわゆるバイトテロが企業を脅かしている要因に、2chや、まとめサイトが介在していることを批判する内容を放送したとして、話題になっている。
まとめサイトは、企業運営型のもあるけど、多くは個人がしていると言われる。アフィリ連動で、サイト訪問者数の多さ、あるいは経由地となることで、利益が上がるので、アダルトサイトや文化芸能、ゲーム、画像・動画、サブカル、軍事ネタ等が多いわけだけども、話題性がある内容の場合、不正確なニュース情報でも載せたりする。
バイトテロを批判する動きに便乗するように画像を拡散させて、それが悪ふざけしたバイトを雇っている企業への批判となり、追い詰めるというのが、NHKの番組の主旨らしい。
そういう面は否定出来ないものの、どうも偏っている感じがする。
そもそも問題はバイトテロを起こしている連中のほうだし、ネットで拡散しても、問題がどこかは多くの人が理解しているから、書き込みなどは、雇った企業への批判よりも、むしろ企業は被害者として同情する意見のほうが圧倒的に多い。
バカッター的投稿は、ネットの自由度の高さからくる特性であって、それは、犯罪に利用されたり、著作権違反の情報が溢れかえっていることと同じだ。自由であるがゆえに、個人の倫理観やマナーが問われる問題も露骨に出てくるわけで、それを批判できるという意味では、きちんと機能しているとも言える。
もちろん、犯罪や違法な行為には対策は取らなければならないが、それをしてネットそのものを問題にしたら、マスコミが建前で掲げる報道の自由・言論の自由などの機会すらも制限されてしまう。マスコミの報道の自由はいいが、ネットの自由性や、そこに掲載される情報はけしからん、というのは、一党独裁国家のプロパガンダメディアと同じで、おかしな話だ。
そもそも、今はNHKをはじめ、各局でも、ビッグデータなどと称して、ネットで流れる情報(特に書き込みやつぶやき)の多さを特集してニュース番組の終わりに流したりしている。これもまさにまとめサイトだ。仮に、拡散してはまずい内容を検討して除外し、そのことは秘して、データ量の多い順に取り上げたように装っているのであれば、まとめサイトを批判する資格はない。
テレビのニュース番組でも、偏った報道はよくやる。中国の領土拡張政策や韓国での反日デモの暴力性、韓国司法界で近年目立つ異常性はネットでは普通に報道されるのにテレビではほとんど報道しないが、日本での反韓デモは主張の内容は取り上げずヘイトスピーチだけ(望ましい行為ではないとは言え)わざわざ紹介する。あるいは民主党が政権をとったときは無批判に諸手を挙げて「民意の反映」などと報じたが、自民党が選挙で勝利して政権をとっても、投票率が悪い、これは民意ではないと報道するように、マスコミ関係者の意図が絡むことが多い。
どんな時代でも常に起こる個人が起こした異常な犯罪も、あたかも、時代やその地域に問題があるかのようにすり替えて「物質の豊かさと精神の貧困」などとおかしな批判をしたりすることもよくやる。先日のイプシロンロケットの発射中断の報道でも、ネットでは技術とはそういうものと理解する意見も多かったのに、テレビニュースではNHKですら翌日まで繰り返し揶揄・嘲笑する報道しかしなかった(大々的に取り上げて肩透かしを食らった腹いせなのかわからないが)。
戦時下の大本営発表を、今は、単に方向性が変わったというだけで、マスコミ人の姿勢とやり口は変わっていない。
それでも、メディアがテレビしかなかった時代には、それが通用した。情報を比較する対象が他にないからだ。共産主義国家では固定電話より、テレビのほうが先に普及したという。個人同士で連絡できる電話に対し、テレビは情報を一方通行で流せるからだ。
ところが、ネットが一般化し、アクセスの利便性が高まると、情報は誰もが発信できるようになり、選別されないまま多様化して溢れ、ユーザーがそれを見分けなければならなくなった。まとめサイトはそのために登場し、同時に、今まで色々都合で隠していた情報も、目に出来るようになった。まさに「人の口に戸は立てられぬ」ということになった。
竜巻など予測が難しい災害情報のように、ネットに投稿するよう気象庁や気象会社が呼びかけたり、LINEの機能を企業がセールやクーポンと絡めて利用したり、生態学の研究者が昆虫の生息目撃情報を呼びかけたりするような、ネット情報を積極的に活用する動きが高まっている。
しかし、報道というジャンルがかぶるマスコミは逆に、ネットの情報性を生かせずに脅かされつつある。
というより、脅かされつつある、とマスコミ関係者は思っているのではないか?
テレビの情報番組や、新聞の社説など、マスコミ関係者の意見が反映されやすいプログラムやコラムほど、ネットへの批判が強いように思える。
マスコミ関係者も、一般人と変わらない。何かしらの特別な能力を持っているわけではない。むしろ、国民に報道しているのは自分たち、というプライドに支えられたその業界の中だけの視野になって、抵抗感無くネットに触れられる一般人より狭い認識しかないおそれもある。その認識の範囲で自分たちを脅かすと感じる情報は制限したり批判したりするようになるだろう。
情報が氾濫する時代には、一般市民は、マスコミの報道すらも、まずは疑ってみないといけない、ということを認識し始めている。
その空気感を察知して、マスコミ関係者は敏感になっているのかもしれない。

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